最初から人質を助ける気など全くなかったとしか思えない政府の対応まとめ その1
- 2015/02/11
- 06:00
私は、中高校生くらいのこれからの若者が読んでくれる機会があるなら、少しでも考えるきっかけになってほしいという気持ちも込めて書いています。
なので、今回の人質事件について初めて読む中高生にもわかりやすいように、自分なりに順を追ってまとめていくことにしました。
(参照にした報道等は別記事でまとめてリンクを張っておきます。今更感満載なまとめですので、経緯をよくわかってらっしゃる方はどうぞスルーしてくださいね^^; なお、国内のイスラム教徒から「イスラム国」との呼称を辞めて欲しいという要望がありますので、基本的にISISと表現します)
1/20にISISが日本人人質の湯川遥菜さんと後藤健二さん二人の殺害予告動画を公開したことで、私たち一般国民は初めてこの衝撃的な人質事件を知ることになりました。
この動画が公開された時、安倍首相は中東で商売がしたい(つまり軍事産業で儲けたい?)46社もの企業幹部を引き連れて中東を歴訪している真っ最中でした。まずいことに歴訪先はエジプト、ヨルダン、イスラエル、という親米政権の国ばかりです。
1/17、安倍首相はエジプトの首都カイロでイラクやレバノンなどに2億ドル(約240億円)の支援を行うと発表しました。
ISISはこの2億ドル支援が自分たちへの敵対行為だとして、殺害予告動画を公開したと見られています。
動画の中で兵士が述べていた内容はこちらです。
「日本の総理大臣へ。日本はイスラム国から8500キロ以上も離れたところにあるが、イスラム国に対する十字軍にすすんで参加した。われわれの女性と子どもを殺害し、イスラム教徒の家を破壊するために1億ドルを支援した。だから、この日本人の男の解放には1億ドルかかる。それから、日本は、イスラム国の拡大を防ごうと、さらに1億ドルを支援した。よって、この別の男の解放にはさらに1億ドルかかる」
「日本国民へ。日本政府はイスラム国に対抗するために愚かな決断をした。2人の命を救うため、政府に2億ドルを払う賢い決断をさせるために圧力をかける時間はあと72時間だ。さもなければ、このナイフが悪夢になる」
この脅迫に対し、後に政府は「この2億ドルの支援は、地域で家を無くしたり、避難民となっている人たちを救うため、食料や医療サービスを提供するための人道支援だ」と主張しましたが、安倍首相はこの17日のカイロ演説で、2億ドル支援についてハッキリとこう言っちゃってるのです。
『イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します。』
http://www.mofa.go.jp/mofaj/me_a/me1/eg/page24_000392.html
これがISを刺激したのでしょう。
湯川さんは昨年の8月、そして後藤さんは10月に不明になり、政府は既に早い段階で事件を把握していました(国民は知りませんでしたが)
つまり安倍首相は、日本人二人がISISの人質になっているのを知りながら、このタイミングで中東の親米国を歴訪し、ISISを敵視しているというメッセージを含んだ2億ドル支援の演説をぶったわけです。
本当に人質の安否を気遣っていたなら、どうしてこんな人質を危険にさらすことをしたのでしょうか。
菅官房長官は20日の定例記者会見で、中東歴訪中の安倍晋三首相から「人命第一に対応する」との指示を受けた旨を述べました。
しかし政府の対応はおよそ「人命第一」とは真逆のものでした。
菅官房長官はこの会見中で「人命第一」と言うと同時に「「我が国としてはテロに屈することなく、国際社会におけるテロとの戦いを支援する立場には変わりない」と述べてしまいました。
ちょ・・・
「日本はイスラムに対抗するという決断をしたから人質を殺すぞ」とISISははっきり言ってるのに対し、「テロとの戦いを支援する立場には変わりない」だなんて、ISに敵対宣言してるも同然なわけで、人質の身に危険が及ぶのは目に見えています。
ここはもっと慎重に言葉を選ぶべきでしょう、言葉の重みを知らない政治家が日本を牛耳るのはホントに日本国民の命に関わると改めて痛感しました。
そして更に驚くべきは、安倍首相はこの動画公開を受けて、なんと、イスラエルの国旗を背にして人質解放を訴える緊急会見をしてしまったのですorzorzorz

イスラエルの旗の前で会見するというのがどういう意味を持つのかわからないほど、この国の首相と、首相を取り巻く政治家や官僚はバカなんでしょうか
アメリカをスポンサーに持つイスラエルが現在も尚パレスチナ・ガザ地区住民にどんな惨い虐殺をし続けているか、私もブログで非難してきました。
イスラム研究の専門家・内藤正典さんはこう述べています
http://wpb.shueisha.co.jp/2015/02/03/42911/
イスラエルというのは、中東だけでなく、世界中のイスラム教徒から相当な怒りを買っている。昨年夏にも、パレスチナのガザを集中的に攻撃して、2000人以上の死者を出した。うち500人は子供ですよ
テロとの戦いという理屈では、説明できないことをしている。その国の旗の前で「ふたりの人質を解放してくれ」と、世界にアピールしますか? これは基本的な外交リテラシーの欠如の表れ、と私は見ました
その緊急会見の内容はこちら
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2015/0120naigai.html
ああ、イスラエルの国旗がバックでは、2億ドルは人道支援だなんていくら訴えても信じてもらえそうにありません。
「国際社会と連携し、地域の平和と安定のために、一層貢献していきます」だとか「日本は、国際社会と手を携えてまいります。」なんて「イスラエルと手を携えて」だろう、と思われるのかオチ
ましてや「国際社会は決してテロには屈してはならない」なんて刺激的すぎる言葉をわざわざ言わなくても・・orz
ちなみにこの頃のマスコミは何を熱心に報道したかというと、殺害予告画像は合成、偽物では?ということです。
呆れました。今まで対岸の火事でしかなかったテロの対象にとうとう日本もなってしまったのが信じられなくて現実逃避しているようしにか見えませんでした。もっと他に報道すべき事があるでしょうに
殺害予告期限までたった三日しかありません。全力であらゆる救出策を講じなくてはなりません。
なのに政府と来たら・・・
続きは宮武嶺さんのブログからお借りしましょう。
(引用開始)
・・・
さらに、安倍政権のびっくりするような失態は続きます。
翌21日の朝、自民党の高村正彦副総裁があろうことか
「日本政府が人道支援をやめるのは論外だし、身代金を払うこともできない」
と記者団に断言してしまったのです。
早い早い早い!
誘拐事件発生の冒頭からこんなこと言っちゃう人、いないでしょ?
与党首脳がこれでは、最初から人質を助ける気がないか、あってもその能力は皆無か、どちらかなのは確定です。
そもそも、驚くべきことに、人質殺害の予告期限まで数時間の23日お昼前になっても、未だに国家安全保障会議(日本版NSC)が開催されないのです。
この会議の設置は安倍首相の悲願で、第一次内閣では設立前に政権を投げ出したため、やっと2013年12月に反対を押し切って設立したものです。
国家安全保障会議の司令塔となるのは、安倍首相・菅官房長官・岸田外相・中谷防衛相によって構成される「4大臣会議」です。
この会議は平素から開催され、安全保障に関する政策を協議して対外政策の基本的な方向性を決定するのですが、「平素」からやっているはずで、しかも4人いれば開催されるのに、それもやらないんです。
安倍政権が関係閣僚会議は開いても、自分が鳴り物入りで作ったこんな時のためにこそあるNSCを開かないところに、「人命第一」には考えていないことが如実に表れているじゃないですか。
安倍首相が人質を見殺しにする気でいる証拠はまだまだあります。
まず、安倍首相は22日午後7時ごろ、テロリストと交渉せず見殺しにするという方針のキャメロン英国首相に連絡しています。
その内容について、イギリスの通信社PA通信がすっぱ抜いたところによると、
「安倍総理とキャメロン首相は、テロリストには身代金を払わないというG8サミットの方針を再確認した」
日本側では外務省が電話会談の概要を発表しましたが、もちろんそうした内容は含まれていません。
しかし、このスクープは当事者でないイギリス側から出た情報だからこそ信用できるのです。
さらに、パリを訪問中の薗浦健太郎外務政務官は同じ22日にクリスチャン・マセ仏外務次官と会いました。
フランスは「イスラム国」に身代金を支払って人質を救出したことのある国です。
ところが薗浦政務官は会談後、記者団に説明したのは、
「日仏のテロ担当者の連絡を密にすることを確認した」
というものだったのです。
今更連絡を密にしても間に合わないでしょうが!
そもそも、シャルリー事件でテロとの対決を前面に押し出しているオランド政権が、穏便な解決方法に協力してくれるわけもありません。
さらにさらに、同じ22日に行われた国連総会での日本の代表の演説が人質にとどめを刺します。日本、国連で殺害予告非難 各国に協力要請
国際 2015/01/23 07:23【共同通信】
【ニューヨーク共同】日本の岡村善文国連次席大使は22日、国連総会の会合で演説し、過激派「イスラム国」とみられるグループが日本人2人の殺害を予告した事件について「罪のない人々を人質に取って脅迫する行為は許し難く、強い憤りを覚える」と非難した。
岡村次席大使は「日本はテロや暴力に屈することはない。われわれは引き続き、国際社会と共にテロとの戦いを続ける」と表明。その上で「国連や加盟各国に支持を要請する」と述べ、事件解決への協力を訴えた。
翌日の人質殺害警告を無視して、許せない、強い憤りはいいにしても、わざわざ国連で「テロに屈しない」といい、ましてや「テロと戦い続ける」と宣言する必要がどこにあるのか。
これらの死刑宣告が日本政府から下されたのが、全部殺害予告前日なんです。
これでも
「関係各国や現地の部族長などあらゆるパイプを通して人質救出のために全力を挙げている」
なんていう安倍首相や菅官房長官たちの説明を間に受けますか?
(中略)
さて、アメリカのサキ国務省報道官は、1月22日に記者会見して、アメリカ政府はすでに安倍内閣に
「身代金の支払いは米国の政策に反する」
との考えを非公式に伝えたことを明らかにしています。
同報道官はその上で
「日本政府は、身代金に関する米政府の長年にわたる立場をよく知っているはずだ」
と指摘しました。
それでなくてもアメリカべったりの安倍政権は、「身代金を払うな」ととっくに恫喝されていたわけです。
これでも、安倍首相が日本人の方々の命を救うつもりだと信じられますか。
(Everyone says I love you ! 「「イスラム国」事件 最初からやる気のない安倍政権はすでに日本人人質を見捨てている」より)
ISISを挑発し、身代金支払いという救出のための手段を初っぱなから頑なに拒絶して救出を困難にするのが官邸のいう「人命第一」なのですか
そしてもうひとつ呆れたことに・・
安倍首相は1月8日には経団連の信念祝賀パーティーに参加、22日は、なんと「日本ベンチャー大賞表彰式」に出席してたそうです。
なにやってるんですか!
殺害期限まであと一日しかないのですよ?!
日本政府がこの三日間にやったことと言えば、「テロには屈しない」「テロとの闘いを支援する」と、その場で人質の首がはねられかねない会見をしただけで、何一つ有効な取り組みはしてないようにしか見えないのですけど。
テロに屈しないと繰り返すだけの簡単なお仕事です。 pic.twitter.com/DNqgIOa0SJ
— TOKYO DEMOCRACY CREW (@TOKYO_DEMOCRACY) 2015, 1月 26
(つづく)
- 関連記事
-
- 最初から人質を助ける気など全くなかったとしか思えない政府の対応まとめ その2 (2015/02/12)
- 最初から人質を助ける気など全くなかったとしか思えない政府の対応まとめ その1 (2015/02/11)
- ジャーナリストが危険な戦場に行くのを国が禁止してはいけないと思います (2015/02/08)