コメント
小林多喜二は作中でソ連を賛美していますが、そのソ連はスターリンによって粛清が行われ、多くの人が殺されたりシベリアの収容所に送られたりして、実際国全体が蟹工船と化していたわけですが。
もっとも当時はソ連の情報がなかなか伝わらなかったので、ソ連に幻想を抱いたこと自体は小林多喜二本人の罪ではありません。しかし秋原さんのブログを見てみると、「歴史に目を閉ざすな」とか言う割には、スターリンの粛清やシベリア抑留、中国の文化大革命、北朝鮮の拉致などのような、各地で共産主義政権の行った人権侵害や人道犯罪に対しては何も言及がありませんね。秋原さんはソ連が崩壊してから20年以上たった現在でも、「革命」「共産主義」に対してシンパシーを抱いているのかもしれませんが、それで今さら小林多喜二を持ち出すのは時代錯誤もいいところですよ。
逆に言いますが、秋原さんは戦前の日本を暗黒一色に塗りつぶそうとしますが、鴎外や漱石、藤村や志賀、芥川や谷崎、川端とかいった戦前の小説を読んだことがありますか? 戦前が悪くなかったとは言いませんが、戦前を悪一色で塗りつぶそうとするのも一面的な見方に過ぎないことくらい、これらの本を読めばわかりそうなものですが。