1/28に安倍総理の所信表明演説が行われました。
http://www.jimin.jp/policy/parliament/0183/119792.html散々海外から極右と批判されたせいか、国民のウケを気にしてか、復古主義的、歴史修正主義的な色合いは控えめになっています。悲願である改憲についても封印しています。
でも「子どもたちの中で・・この国の歴史や伝統への誇りを失い、」とか「強い日本」といった言葉の端々にちらほら「美しい国」の残像が見えるのは隠せませんね。
演説では経済再生、震災復興、外交・安全保障について述べていますが、どれも実に空虚です。
(経済再生)
「政府がどれだけ所得の分配を繰り返しても、持続的な経済成長を通じて富を生み出すことができなければ、経済全体のパイは縮んでいってしまいます。そうなれば、一人ひとりがどんなに頑張ってみても、個人の手元に残る所得は減っていくばかりです。私たちの安心を支える社会保障の基盤も揺らぎかねません。」
と、相変わらず破綻したトリクルダウンの理論を振りかざし、国民に我慢を強いようとしています。
(トリクルダウンが破綻してることは玲奈さんの
こちらの記事をどうぞ)
「額に汗して働けば必ず報われ、未来に夢と希望を抱くことができる、真っ当な社会」をぶちこわし、一度貧困に落ちたら這い上がれない「滑り台社会」「格差社会」にしたのは誰なのでしょうか。次のツイートが辛辣です。
「野党として過ごした3年余り、全国津々浦々で現場の声を丹念に拾い集め、政策のあるべき姿を考え抜いて」きたわりには、「大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略という三本の矢」以外提唱してないわけですが、これって自民党が散々使い古してきたお家芸ではないですか(呆)
(震災復興)
復興に関しても何をどうしたいのかちっとも見えません。
そもそも原発に触れていないとはどういうことでしょうか。
かつて自分が共産党の吉井議員に原発の安全性についてつっこまれて「海外とは原発の構造が違う。日本の原発で同様の事態が発生するとは考えられない」「復旧シナリオは考えていない」と答弁して福島原発の安全対策を怠ったことも、完全に頬被りするという無責任さ。
これだけで、安倍総理に「過去の反省を教訓として心に刻み、丁寧な対話を心掛けながら、真摯に国政運営に当たっていくこと」など期待できないことがよーくわかります。
(外交・安全保障)
相も変わらずアメリカべったり、これによって沖縄に危険きわまりないオスプレイを押しつけた事については一つも触れていません。
アメリカ以外の国については「世界情勢を広く視野に入れた戦略的な外交」といった抽象的な言葉を述べるだけで、結局どうしたいのかよくわかりません。
アルジェリアの人質事件を受けて「24時間・365日体制で、更なる緊張感を持って対処します」だそうですが、安倍総理の初動の遅れや城内政務官の対処のお粗末さについての反省はなし。
結局今までにもまして日米軍事同盟どっぷり浸かります、と言ってる以外何も言っていないに等しい印象です。
安倍総理は演説の中で「危機」という言葉を14回も使っていますが、そもそも誰がこの危機を招いたのかという反省は一切ありません。
それに「危機」という言葉を連発するのは、サブタイトルに持ってきたヘルマン・ゲーリングの言葉をなんとなく彷彿とするものがあります。
また、「危機」に対応して「未知の領域に果敢に挑戦をしていく精神」とか「必ずや「強い経済」を取り戻してまいります」とか「強い日本」とか、中身を伴わない精神主義的な勇ましいかけ声ばかりなのも、安倍氏が持っているきな臭さが漂います。
このかけ声の空虚さは子供ですら見抜きます。
「アベコベ大臣」は「『自分が強い』日本にしたいだけやろ」
お見事、是非、座布団十枚を(笑)
(終わりに)
ここでは演説の空虚さの仕上げが為されています。
「我が国が直面する最大の危機は、日本人が自信を失ってしまったことにあります」「しかし、「自らの力で成長していこう」という気概を失ってしまっては、個人も、国家も、明るい将来を切り拓くことはできません」
として「『どうなるだろうか』と他人に問いかけるのではなく、『我々自身の手によって運命を開拓するほかに道はない』」、と芦田元総理の言葉を引用して、「自己責任」「自助努力」を呼びかけています。
要は「おまえら一人一人の根性で何とかしろ」ということです。
ああむなしい・・
(なお、芦田元総理の言葉の引用はトンチンカンであることをvanacoralさんが指摘されています。
http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20130129)
所信表明演説について、志位さんの指摘した「三つの弱点」が的確だと思いましたので赤旗からメモしておきます。
あと、所信表明演説に関してのツイートをいくつか拾って[続きをよむ]にお持ち帰りしておきました。
安倍政権の致命的弱点に切り込み、政治の根本的転換を迫る論戦を
日本共産党国会議員団総会 志位委員長のあいさつ
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-29/2013012904_01_0.html
(前略・引用開始)
第1の弱点
直面する政治・経済・外交の危機を打開する解決策を何一つ持ち合わせていない
第一は、安倍政権が、今日の日本が直面する政治、経済、外交の危機を打開する解決策を何一つ持ち合わせていないということです。
たとえば、深刻なデフレ不況からどう抜け出すか。政府の「緊急経済対策」を読んで驚くのは、なぜ日本経済が深刻なデフレ不況に陥ったか、その原因の分析がまったくないことです。原因の分析がありませんから、まともな処方箋を何一つ打ち出すことができない。そういう内容となっています。
安倍政権は、自らの経済政策を「アベノミクス」だとか「三本の矢」だとかいって仰々しく宣伝していますが、新しい中身はまったくありません。無制限の金融緩和、大型公共事業のばらまき、大企業応援の「成長戦略」――すべて過去の自民党政権が行い、破綻が証明ずみのものばかりです。新春のNHKの党首インタビューでこの問題を問われまして、「『三本の矢』というが、どれも破綻が証明ずみの“折れた矢”を三つ並べただけではないか」と答えました。“折れた矢”を三つ並べても、「強い経済」をつくることなどはできないことを、はっきり申し上げておきたいと思います。(拍手)
長期にわたって働く人の所得が減り続けていることにこそ、デフレ不況の最大の原因があります。そして、働く人の所得を増やす政治に転換することにこそ、デフレ不況から抜け出す最大のカギがあります。それ抜きに金融緩和や公共事業のばらまきをやっても、経済はよくならない、そのことは国民生活と日本経済の実態をありのままに見る人ならば、だれも否定できないことであります。
最近、印象深く読んだものとして、『エコノミスト』誌の1月15日号で編集長の横田恵美さんがこういうことをいっております。
「安倍首相のデフレ脱却策を聞いていると、この人は国民の家計や雇用にどれだけ関心があるのだろうか、と気になる。インフレ期待の醸成というが多くの国民の期待は賃金の上昇だ」「デフレが深刻化したのは、企業が内部留保や株主配当に偏重し、人件費を圧縮したからだ。この認識なくして、金融緩和や公共事業で大盤振る舞いをしても、お金は回らない」
これは、経済をまともに見る人だったら常識的な見方ではないでしょうか。そして、私たちが示している打開策とも、まさに一致している見方がここにあるわけです。
これは一例ですが、この内閣は、これだけ日本の政治が行き詰まっているにもかかわらず、どの問題でも打開策を示すことができない。ここにこそ最大の致命的な弱点があるわけです。この内閣に対して、日本共産党は国民の立場に立って危機打開の抜本的対策を示して、堂々とたたかいぬきたい、この決意を申し上げたいと思います。(拍手)
第2の弱点
今日のあらゆる危機をつくりだした張本人が「危機突破」とは
第二の致命的弱点は、安倍政権は、「危機突破内閣」などといいますが、そもそも自民党は、今日のあらゆる危機をつくり出した張本人ではないかということであります。ここをただす論戦をやっていきたいと思います。
たとえば、だれが日本をこんな賃下げ社会にしてしまったのか。労働法制の規制緩和を進め、派遣やパートなど非正規雇用を拡大してきたことが賃下げ社会をつくり出したことは、だれの目にも明らかですが、財界いいなりにこの路線を進めたのは、歴代自民党政権の責任ではありませんか。
さらに、福島原発事故を防ぐことができなかったのは、いったいだれの責任か。日本共産党のたびたびの具体的な警告にもかかわらず、「安全神話」にどっぷりつかり、またそれをふりまいて、やみくもな原発推進政策を進め、大事故を引き起こしてしまったのも、第1次安倍政権を含む歴代自民党政権の責任ではありませんか。
今日、日本が直面するあらゆる危機は、60年あまりの自民党型政治によってつくりだされたものであります。これは決して、自然現象ではなく、自民党政治が引き起こした政治災害なのであります。私たちは、これからの国会論戦で、その重大な責任をあらためて一つひとつ明らかにし、それへの厳しい反省と転換を迫っていく決意であります。あらゆる危機をつくり出してきた自らの政治へのひとかけらの反省もなしに、「危機突破内閣」とは笑止千万といわなければなりません。(拍手)
そのことを、論戦を通じて厳しく追及していこうではありませんか。(拍手)
第3の弱点
増税・改憲・TPP・米軍基地――すべてが国民多数の意思に背くもの
第三の致命的弱点は、安倍政権が進めようとしていることは、そのすべてが国民多数の意思に背く――民意に背くものだということです。
昨年12月の特別国会の召集の際の議員団総会のあいさつで述べたように、もともと総選挙で国民が下した審判は「民主党政権ノー」であって、自民党の政策に信任状を与えたわけでは決してありません。
実際、総選挙後のさまざまな世論調査を見ても、安倍内閣が進めようとしている消費税増税に対して、毎日新聞の調査では、国民の52%が反対と答えております。憲法9条改定に対しては、毎日新聞では国民の52%、朝日新聞では53%が反対と答えています。増税でも改憲でも、国民多数がこれに反対という意思を示しているわけであります。
原発問題ではどうか。「国民の過半数が原発ゼロを望んでいる」というのは、国民的議論の到達点を踏まえて政府が出した結論でした。自民党政権に代わったら、この国民的議論の到達点が変わるなどということがありえるでしょうか。これはありえないわけであります。ですから、いま安倍内閣が進めようとしているあからさまな原発推進政策――再稼働の推進、新増設の容認、原発輸出の推進などは、「原発をなくせ」という国民世論に真っ向から逆らうものにほかならないということも述べておきたいと思います。
さらに、TPP推進、米軍沖縄普天間基地の「辺野古移設」、オスプレイ配備の強行など、アメリカ追従政治が、民意に背くものであることは、当選した160人を超える自民党公認議員が「TPP反対」を公約に掲げ、沖縄で当選した4人の自民党公認議員が、全員「県外移設」を公約に掲げたことにも示されているではないですか。
安倍自公政権は、国会内では多数かもしれませんが、その進めようとしていることは、国民のなかではどれも少数派であります。みなさん、ここに確信をもって、国民運動との共同を広げに広げ、国民の利益に背く暴走を阻止し、新しい政治への道を開く国会にしていこうではありませんか。(拍手)
(引用ここまで)
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