滋賀県議会で嘉田知事の党首と首長の兼任解消決議が賛成多数で可決されたことは皆さんご存じだと思います。
一方1/24、大阪市議会では予想通り、橋下氏の維新の共同代表と首長の兼任解消決議は反対多数で否決されました。
(報道記事は[続きをよむ]にいれていおきます。ASさん、報道記事を教えていただきありがとうございました)
この決議に当たって、公明党は滋賀県議会では公明党は兼任反対決議に賛成票を投じましたが、大阪市議会では反対票を投じているのです。
つまり、嘉田知事の党首代表と首長との兼任は許されないが、橋下市長の党首代表(共同代表ですが)と首長との兼任は許されると言うのが公明党の判断です。
仮に大阪市議会に実質的な支障がなかったとしても橋下市長の私的な理由で市議会を前倒し閉会すること自体が問題だと思いますし、あの公務日程激減には誰もが納得いかないでしょう。そのほかにも市民の懇談の要請にも応じずに遊説に回ったり、市長が出席予定だった会議の欠席もあったはずです。
嘉田知事が兼任によってどれほど県知事の仕事に影響を及ぼしたかは私は具体的に知りませんが、嘉田氏が橋下氏と比較して特に公務に重大な支障を与えた、というようなことも耳にしません。
一体このダブスタはどういうことでしょうか?
公明党さんから是非納得いく説明を聞きたいものだと思っていたところ、大阪市会議員公明党の辻よしたか議員とツイッターでお話できました。
お忙しい所、お返事を頂けたことにまずお礼を申し上げたいと思います。
ではそのやりとりをこちらに転載しましょう。
(所用もあって一旦ここで切らせていただきました。なお、ツイッターは140字規制がありますし後から会話の流れもよくわからなくなりますので、以後こちらのブログの方で述べさせていただきます。)
ここで辻議員の主張をまとめてみます。
同じ政党であっても、地方議会では独自性、多様性が認められている。従って、地方によって異なる議決をしてもそれはダブスタではない。例えば大阪市会自民党は、がれき対応で北九州と違ってるし、都構想は党本部と違っている
また、 大阪市長が上程したかった都構想の特別区設置の条例案を後ろに下げただけで、市議会は決算質疑をすでに終えていたから市議会に支障はなかったし、外形的な政党の状況は、日本未来と日本維新では明らか。
要するに、嘉田氏、橋下氏、日本未来の党、維新の会ではそれぞれ事情が違うのだし、首長と党首の兼任に賛成するか反対するかは、地方ごとで個別具体的に判断すればよい、というのが辻議員の主張と受け取りました。
これに対する私の意見は以下のようなものです。
同じ政党であっても、地方議会では独自性、多様性が認められている、というのは極広く一般論としてはそのとおりです。
しかし、瓦礫や都構想のケースと異なり、兼任解消を求める趣旨は「地方の独自性、多様性」とは関係がないと思います(私はこのことは既にツイート内で述べています)
滋賀県議会で採択された決議文を見てみましょう。
http://www.shigaken-gikai.jp/g07_IkenView.asp?SrchID=584&bunrui=&kword1=&kword2=
(引用開始)
都道府県を統轄、代表する地位にある知事には、県民の福祉向上と県勢の発展のため、その全力を尽くして職務に専念することが求められており、これは、知事に県政運営を託した有権者に対する政治的、道義的な義務である。
他方、政党の舵取りを担う党首には、党の政治的主張と国益の実現のため、全力を傾注することが支持者から期待されており、こうした両者の立場の違いと職責の重大さにかんがみれば、知事が国政の政党の党首を兼ねることは、およそ考えられない。
しかるに、嘉田由紀子知事は、平成24年11月、新党を結成し、滋賀県知事に在職のまま党首に就任した。以来、選挙期間中ばかりでなく、その後においても、党務のために公務を離れ、県外に出ることも多々見受けられる。
知事職は激務であり、諸会合については、現状でも副知事の代理出席とならざるをえないところ、今後も政党用務が続くことになれば、知事本人の出席の機会が更に少なくなり、県民の期待に応えられなくなるとともに、庁内執務についても、十分な協議のための時間確保が困難となり、県政運営に支障を来すことが予想される。
また、国会および県議会が政党を中心として構成、運営されていることからすれば、知事がその重要な役職に就き、特定の政党色を鮮明にすることは、得られる効果よりも県益を損ねることの方がはるかに多いと危惧される。
もとより、知事の政治活動が禁止され、または執務時間が拘束されているものではないことは当然であるが、滋賀県民141万人の明日を預かる知事として、今回の両者の兼務は、あまりにも異常な事態である。
よって、本議会は、嘉田由紀子知事に対し、速やかに知事と国政政党の役職の兼務を解消するよう、強く求める。
以上、決議する。
(引用ここまで)
これを読んでもわかるとおり、「嘉田氏が実際に支障を与えたから」「嘉田氏だから」「未来の党惨憺たる結果だから」等々の個別具体的な事情に基づいて兼任解消を求めたのではなく、
『
およそ地方の首長たるものは首長の職務に専念すべきであるから』兼任解消を求めたのは明らかです。
大阪市議会での兼任解消決議文はネットで拾うことが出来なかったのですが、おそらく兼任解消を求めた趣旨は全く同じであったと思われます。
これは滋賀県であろうと大阪市であろうと他の地方都市であろうとおよそ変わりありません。
(当該地方の首長職は党首を兼任しても差し支えないほど暇で暇で仕方がない職である、というような特殊な事情でもあれば別かもしれませんが、そのような特殊事情のある地方都市など日本にあるとは思えません。どの都市の首長もみな激務でしょう、ましてや日本第二の大都市大阪市の市長職は激務と思います。)
また、これは滋賀県知事が嘉田氏であろうが國松氏であろうが、大阪市長が橋下氏であろうが平松氏であろうが、誰が首長であろうと変わらずに言えることでもあります。
つまり
兼任解消の趣旨は、地方の独自性、多様性とは関係ないことなのです。
とすれば、公明党が大阪市議会ではこの兼任解消に反対したというのは、大阪市の公明党は協力関係にある橋下氏のためなら露骨に筋を曲げるのも平気であるとのそしりは免れません。そして大阪市の公明党が筋を曲げたことを他地域や中央の公明党が黙認するなら、これを世間では「ダブスタ」と評価するのも当然の成り行きではありませんか?
従って辻議員には、まず前提として
①およそ地方の首長というものは公益性が高く多忙な仕事であるため、よほど特殊な事情のない限り党首と兼任しては首長としての仕事がおろそかになるから、誰であれ兼任はいけないという認識はお持ちなのかどうか
ということをお伺いしたいです(少なくとも滋賀県の公明党さんはこういう認識をお持ちのようです)
また①についてのお考えを伺った上で、
②大阪市長職というものは党首を兼任しても何の支障もないような特殊な事情が何かあるのか、
③橋下氏ではなく他の人が大阪市長であっても兼任を認めたか?もし「橋下氏だから」兼任を認めたというのなら、その理由は何か
についても納得いく説明をお願いしたいです。
ご多忙中大変恐縮ではありますが、いつでも構いませんのでご回答を頂けると嬉しく存じます。
-・-・-・-・-
<滋賀県議会>
◆朝日新聞デジタル
滋賀県議会、兼務解消求める決議 知事、党務続ける構え
http://www.asahi.com/politics/update/1226/OSK201212260088.html
日本未来の党代表の嘉田由紀子滋賀県知事に対し、県議会(定数47、欠員1)で過半数を握る野党の自民党県議団(25人)は26日、知事と党代表の兼務が県政運営に支障を来すとして、知事と党役職の兼務の解消を求める決議案を提出した。嘉田知事が相談役を務める対話の会・しがねっと(5人)を除く全会派が賛成し、可決された。
決議では、嘉田知事が兼務を続ければ、庁内協議のための時間確保が難しくなり、県政運営に支障を来すとしたうえで、国会や県議会は政党を中心に構成・運営され、知事が党の役職に就いて特定の政党色を出せば県益を損ねると指摘。「速やかに知事と国政政党の役職の兼務を解消するよう強く求める」とした。
自民党県議団は当初、知事の辞職勧告決議案の提出を検討したが、知事与党の民主党・県民ネットワークなどが代表を辞任し、知事職に専念するよう主張していたため、より多くの会派が賛同できる兼職解消を求める決議案にまとめた。
<大阪市議会>
◆関西ニュース ABC NEWS
【大阪市議会】市長と政党幹部の兼務解消案 維公が否決
1/24 19:16
(リンク切れ)
大阪市議会で、自民が橋下市長に対決姿勢です。「市長と政党幹部の兼務解消」を求める決議案を提出しましたが、維新と公明が反対し、否決されました。
きょう開会した大阪市議会に自民は決議案を提出。「去年の衆院選で、橋下市長は選挙運動を理由にほとんど市役所に登庁せず、市民感情を著しく損なった」として、市長と政党の役職の兼務を辞めるよう求めました。自民市議団の荒木幹男幹事長は、「橋下市長は維新の共同代表ですが、党首と同じです。そういうことで大都市・大阪を守れるのか」と疑問を呈します。決議案は即日採決され、民主系と共産は賛成しましたが、維新と公明が反対したため、否決されました。橋下市長は、「『兼務解消』とか、しょうもないことをいう前に、大阪市政でどこが問題かということを徹底的に質問してほしい」と話しました。また公明は、嘉田知事に対して同様の決議が可決された滋賀県議会では賛成しましたが、橋下市長が相手の大阪市議会では反対に回りました。
- 関連記事
-
スポンサーサイト