安倍政権になって、日本の極右思考が海外で警戒されていることを引き続きメモしておきましょう。発足時からこれだけボロクソに言われてる政権も珍しいのではないでしょうか。
(記事題は「海外報道をメモ」としていますが、海外の動きをメモする、というつもりでいます。なお、ブログ「市民フォーラム」さんが年末年始の海外の安倍批判をまとめてくださっていたので[続きをよむ]の中にお持ち帰りしました)
ニューヨークタイムスで安倍内閣が酷評されたことを
こちら でメモしておきましたが、ブログ「Peace Philosophy Centre」さんがその日本語訳をしてくださっていたので、だいぶ遅くなりましたが転載させていただきます。
◆Peace Philosophy Centre
ニューヨークタイムズ社説が安倍歴史否定を批判 The New York Times Editorial criticizes Abe for history denial 前投稿(必読!)「成澤宗男: 安倍晋三と極右歴史修正主義者は、世界の敵である」(日本時間1月2日)をアップした翌日、ニューヨークタイムズに安倍首相の歴史否定を批判する社説が出たので日本語で紹介する。 The New York Times Editorial of January 2, 2013 Another Attempt to Deny Japan's History ニューヨーク・タイムズ1月2日社説 和訳(ハイパーリンクは訳者によるもの) 日本の歴史を否定する更なる試み アジアの安定のために、日韓関係ほど大事なものは他にあまりない。安倍晋三は今回の任期を、韓国との緊張を炎上させ協力をより難しくする深刻な過ちでスタートさせようとしているようだ。彼は、朝鮮半島や他の地域の女性たちを性奴隷として使ったことを含む、第二次世界大戦中の日本の加害に対する謝罪を書き直そうする動きを見せている。 1993年に日本は、何千、何万、または何十万の(訳者注:原文では thousands となっている。thousands は、「何千」単位から「何十万」単位までをカバーする)アジアとヨーロッパの女性たちを軍の慰安所で強姦し奴隷化したことをようやく認め、このような残虐行為に対して初めての完全な謝罪を行った(訳者注:「河野談話」のこと)。1995年には村山富市首相がもっと広範囲にわたる謝罪を行い、「植民地支配と侵略によって」、日本は「多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を」与えたと認めた。 右翼ナショナリストの安倍氏は、産経新聞のインタビューに応じ、特定はしなかったが「未来志向の談話」によって1995年の謝罪と入れ替えたいと言い、ロイター通信に月曜日に引用された。彼は前安倍政権(2006-2007年)は、戦時中日本軍の性奴隷となった女性たちが実際強制されていたという証拠は全く見つからなかったと言った。しかし先週の記者会見で、菅義偉官房長官は、安倍氏は1995年の謝罪は維持するが、1993年の談話は見直すかもしれないと述べていた。 自民党のリーダーである安倍氏がどのようにこれらの謝罪を修正するのかは明らかになっていないが、彼はこれまで、日本の戦時史を書き換えることを切望していることを全然秘密にはしてこなかった。こういった犯罪を否定し、謝罪を薄めるようなどのような試みも、日本の戦時中の残忍な支配に被害を受けた韓国、そして、中国やフィリピンをも激怒させることであろう。 安倍氏の恥ずべき衝動的行為は、北朝鮮の核兵器プログラム等の諸問題において、地域における大切な協力関係を脅かすものになりかねない。このような修正主義は、歴史を歪曲することよりも、長い経済不況からの回復に集中しなければいけないこの国にとって、恥ずかしいことである。 (転載終了)
「安倍氏の恥ずべき衝動的行為」なんて書かれちゃってます。
「このような修正主義は、恥ずかしいことである。」と断じていますが、これが世界共通認識であることの意識が日本は薄すぎます。
オーストラリアからも河野談話見直しは批判されています。
◆朝日新聞デジタル
豪外相「河野談話見直し、望ましくない」 日豪共同会見 http://www.asahi.com/international/update/0113/TKY201301130138.html 【関根慎一】豪州のカー外相は13日、岸田文雄外相との共同記者会見で、慰安婦問題で旧日本軍の強制性を認めた1993年の河野談話について「近代史で最も暗い出来事の一つであり、見直しは望ましくない」と述べた。 岸田外相は「慰安婦問題で安倍晋三首相は非常に心を痛めている。歴代首相と思いは変わらない」と説明。「戦後50年の村山談話、60年の小泉談話を引き継ぐ」とも語り、植民地支配と侵略へのおわびと反省を表明した両談話を、安倍首相が継承するとの見通しを示した。豪メディアの質問に答えた。 菅義偉官房長官は4日のインタビューで河野談話の見直しに慎重な考えを示しつつ、第1次安倍内閣が「政府が発見した資料に強制連行を直接示すような記述は見あたらなかった」とする政府答弁書を閣議決定したことにも言及。村山談話は継承したうえで、新たに安倍談話を出す考えも示しており、カー外相はこうした動きに懸念を表明したものとみられる。 共同会見に先立つ外相会談では、アジア太平洋地域の安全保障面で米国との連携強化で一致。ただ、カー外相は会見で「中国を封じ込める考えはない。日豪にとって重要なパートナーだ」と指摘した。
「慰安婦問題で安倍晋三首相は非常に心を痛めている。歴代首相と思いは変わらない」「戦後50年の村山談話、60年の小泉談話を引き継ぐ」と言いながらそれらを否定する安倍談話を出そうというのですから、複雑怪奇な日本語の言い回しに豪州外相も頭を抱えることでしょう。
歴史修正主義の二大捏造は慰安婦問題と南京大虐殺で、これまで慰安婦問題については各国から非難が寄せられましたが、こんどは南京大虐殺についてカナダからです。
トロント市議会が南京大虐殺の決議文採択 週刊金曜日 1月16日(水)18時30分配信 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130116-00000302-kinyobi-pol カナダのトロント市議会はこのほど、「南京大虐殺から75年を思い起こすことを宣言し、国民の関心を高めるための役割を果たす」よう市長に求めた決議文を全会一致で採択した。 1937年12月に起きた南京大虐殺から75年たった今年、北米の中国・アジア系市民の間では、尖閣諸島問題を契機とした日本国内の右翼的世論の高まりに対して懸念が広がっている。トロントはカナダ有数のアジア系住民が多い都市として知られているが、今回の決議は、日本の戦争責任に対する鈍感さに警告を発したものと言えそうだ。 決議文は「虐殺はいまだ生存者の記憶に留まり」、事件が決して過去のものではないと強調。「命を奪われた犠牲者に思いをはせ、この虐殺事件を人々に伝えることは歴史の理解と平和を推進するために不可欠である」と述べている。これを受けて、フォード同市長は、「12月13日を『南京大虐殺を認識する日』と宣言する」と声明した。 また同国バンクーバーでも12月9日、日系市民も含めた約60人が集まり、「バンクーバー市民による南京大虐殺75周年祈念」集会が開かれた。参加者によれば、席上、中国系のビル・チュー氏は、「日本が南京大虐殺を否定するようになっている現状は非常な痛苦を伴う」と述べ、日系と中国系の市民が連帯し、歴史の認識を深め合う必要を訴えた。 (成澤宗男・編集部、12月21日号)
2007年安倍内閣時には、ワシントンポストに「THE FACT」が掲載されたのをきっかけにアメリカで慰安婦決議案が可決されました。THE FACTは逆効果だったわけですが、今回もまた同じ事が繰り返そうとされています。
◆中央日報
「慰安婦は20世紀最大の人身売買」米国、ニューヨーク州議会が慰安婦決議案を上程 2013年01月18日11時32分 http://japanese.joins.com/article/916/166916.html?servcode=A00§code=A10 米国、ニューヨーク州の上院と下院議員が日本軍強制慰安婦問題について日本政府の謝罪と責任を要求する決議案を16日、州上院と下院に同時提出した。 議員らは提出した決議案で日本軍慰安婦問題を「20世紀に起きた最大規模の人身売買」と規定しながら日本政府が被害女性に謝罪することを促す内容を入れた。決議案はまた、日本の新しい教科書が慰安婦の悲劇と日本の戦争犯罪を縮小しようとしていると批判した。 ニューヨーク州議会は上院と下院決議案を統一して採択の有無を投票に委ねる予定だ。
歴史修正主義色を出せばこうやって反発を受けることはわかりきってるのに、学習能力ないんかな、安倍さんは・・・
安倍総理の敬愛する(?)宗主国の
大統領 高官にもこんなことを言われてしまいました。
米、「河野談話」見直し懸念 日中双方に自制求める http://www.asahi.com/politics/update/0117/TKY201301170437.html 【大島隆】米オバマ政権の高官は17日、慰安婦問題で旧日本軍の強制性を認めた1993年の「河野談話」の見直しについて、日本側に懸念を伝えたことを明らかにした。尖閣諸島を巡る日中の対立も「このままでは制御不能な事態になりかねない」との懸念を日中両国政府に伝え、双方に自制を求めたという。 対日関係に携わっている同高官は河野談話の見直しについて、「いくつかの歴史問題は歴史家に任せるべきだ。政治的なテーマとなれば、予期せぬ否定的な結果につながる」とし、「我々は非公式な形で日本側に懸念を伝えた」と語った。
大統領から オバマ政権の高官から直々にこんなこと言われたら安倍総理もへこんだかもしれませんね。どうしますか、安倍さん?
ところで、安倍内閣の歴史修正主義を批判する声はもっぱら海外から発信されており、国内では目立った批判報道はあまりされていないように思います。国民の多数は安倍総理の歴史修正主義に関心がないのではないでしょうか。歴史修正主義に対し無批判であると言うことは「恥ずかしいことである」という認識が足りないのは、やはり民主主義教育がたりないせいでしょうか。
もし安倍が表向き歴史修正主義を控えざるを得なくなったとしても、それは国民からの批判が原因で変えたのではなく、海外からの批判のためだった、だなんて、なんとも情けない気持ちになりますね。
◆市民社会フォーラム
海外メディアの年はじめからの安倍晋三新首相批判続く http://civilesociety.jugem.jp/?eid=19347&PHPSESSID=b7830afe457f58ead7258c7e264d5c89 【海外メディアの安倍首相批判】 ■日本の歴史を否定する更なる試み(ニューヨーク・タイムズ社説 2013年1月2日 日本語訳) http://peacephilosophy.blogspot.ca/2013/01/new-york-times-editorial-criticizes-abe.html ・原文:Another Attempt to Deny Japan's History (The New York Times January 2, 2013) http://www.nytimes.com/2013/01/03/opinion/another-attempt-to-deny-japans-history.html?_r=0 ■安倍首相は村山・河野談話を否定し何を狙うのか (朝鮮日報社説 2013年1月3日) http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/03/2013010300636.html ■日本の新内閣 バック・ツー・ザ・フューチャー 安倍晋三が組閣した ぞっとするほど右寄り内閣が、この地域に悪い兆し (英国The Economist誌 2013年1月5日 日本語訳) http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-January/021763.html ・原文:Japan’s new cabinet Back to the future Shinzo Abe’s appointment of a scarily right-wing cabinet bodes ill for the region (The Economist Jan 5th 2013) http://www.economist.com/news/asia/21569046-shinzo-abes-appointment-scarily-right-wing-cabinet-bodes-ill-region-back-future ■安倍の原発・謝罪再検討計画(オーストラリア The Australian 2012年12月28日 日本語訳(前半部)) http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-January/021779.html ■日本の首相は戦争謝罪を直す(オーストラリア・ビクトリア州 The Age 2013年1月2日 日本語訳) http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-January/021779.html (引用ここまで)
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