国籍法改正狂騒曲(1)若干追記してます
- 2008/12/04
- 17:43
当初、今月2日参議院で採決予定だった国籍法改正案が明日成立する予定です。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081203-00000058-yom-pol
付帯決議には、〈1〉国籍取得の届け出に疑義がある場合、父親と子供が一緒に写った写真の提出をできる限り求める〈2〉施行状況を半年ごとに国会に報告し、科学的な確認方法の導入を検討する--ことなどを盛り込むそうです。(DNA鑑定を視野にいれることは結局盛り込まれなかったのな?)、
①認知だけで国籍が取れるとなると、人身売買・児童買春など悪質なビジネスが横行
②偽装で取得した子供の日本国籍を盾に続々と外国人親族が日本に大挙
③巨額の血税が、偽装認知で生活保護の権利を得た外国人親族のために公然と使われるようになる
といったヘソで茶が沸きそうな理由が、反対する人々の言い分です。
改正で偽装認知が増えてこのような犯罪的行為が大発生すると考えるのがどんなにばかげているか、ブログいしけりあそびにリンクさせていただきます。
①人身売買・児童買春など悪質なビジネスが横行について
○○○!知恵袋 国籍法は改悪なんでしょうか? より
その犯罪組織の人は、15年ぐらい前にその女性の母の住んでいる国に行ったことがある人で、そこでした大量のSEXを法務局でとくとくと説明して、彼らを納得させる必要があります。なお、国籍取得届は15歳未満は法定代理人である母が、15歳であればその女性自身が届出をする必要があるので(国籍法第18条)、彼女たち自身が、その男性の説明と口裏あわせをする必要があります。ああ、なんとめんどくさてデンジャラスな手続きなんだ!観光ビザで連れてきたほうがよっぽどカンタンだよ!
ほんとうは人身売買のことなんてどうでもいいくせに~“No pude quitarte las espinas” より
【まず15歳以上の人身売買編。】
ところで、観光ビザで女を入れるケースは山ほどみていますが、認知を利用した人身売買って、正直、みたことも、きいたこともないです。
あたりまえでしょ。だって業者が女におしつける「借金」は400~600万円、業者の管理下にある女の場合はかせぎが50万円前後、10万円程度が生活費でさしひかれ、したがって返済にかかる期間は順調にいって10ヶ月~1年程度(女を売春婦としてはたらかせるにはおのずと期限があるので、だいたいどれもこんなかんじになる。)、そこからあとはポイ捨てなのに、わざわざ認知を戸籍に記載して、足がつくようなマネするバカいるわけないじゃん。そもそも、どの業者も、上陸と同時に旅券や身分証明書を取りあげて、マニージャ(manilla=スペイン語で「手錠」、転じてその筋のスラングで「監視役」)つけてがんじがらめに管理しているのに、なんで国籍法が改正されたら法務局に出頭して女に日本国籍を取らせたがるようになるんですかね。ヘタすればその場でさわがれてつかまるし、運よく国籍がとれたらその女、逃げちゃうじゃないですか(笑)。
【次に幼児売買編】
(中略)
要するに、他の国では問題なくても、日本人はおかしな奴が多いから、小児性愛者が、幼児を性的に搾取する目的で認知して、日本に連れてくる、あるいはそういう小児性愛者のために、業者かその関係者が認知して、日本に連れてくるっていいたいの?
でもですね、タナカセンセイ、いままでだって認知された子は日本人の子として在留資格「日本人の配偶者等」でちゃんと日本に上陸できるわけですよ。で、性的搾取をする目的でわざわざ認知をして、日本に幼児を連れてきたなんてニュース(実話ナントかはダメよ)、1件でもきいたことあります?
あるわけないです。子どものホームレスもおらず、義務教育就学率ほぼ100%の日本で、性的搾取の目的で外国人の子どもを上陸させるなんていうのは、あまりにも危険すぎるからです。 百歩ゆずって、そういうことするチャレンジャーがいたとします。では、性的搾取の目的で子どもを上陸させるとして、観光ビザ、偽日系人(三世か四世)、偽養子、ほんものの養子などいろいろあるのに、なんで日本人の実子として戸籍を作成させるなんていうもっとも犯人が特定される危険の高い方法を選ぶのですか? そうした子どもについて、外国人登録をしないで所在もわからないように隔離できるのに、なんで国籍とらせて住民票基本台帳に記載させて役所から就学通知書や予防接種の通知が来るようにしたいのですか?性的搾取の目的で認知して連れてくるなんてひとはまずいないです。ましてや偽認知で戸籍までつくろうなんてひと、想像もできません。だからこそ、そういう最低なことしたい人は、東南アジアなどの発展途上国に買春しにいったりするのです。
○○○!知恵袋 国籍法は改悪なんでしょうか? より(若干見やすいように整理)
【日本人の実子とされる子が外国で養育されている場合】は、
外国人親が日本で生活しなければならない理由、本国における日本人の実子の監護・養育の実績及び引き続き日本で監護・養育が行われることの立証が必要です(「国際人流」1996年10月号32頁)。つまり、国籍取得届の段階で、認知の真実性が審査され、さらに母の在留資格の手続(在留資格認定証明書交付申請)の段階で、認知の真実性(母の在留の根拠は認知された子の養育ですから、現在の実務でも、この点を入管では普通に審査しています)に加えてあれやこれやを調査するわけです。認知をした男性の渡航歴を参照されたり、父母別々に、知り合った経緯や交際の状況などをインタビューされれば、虚偽の認知をつらぬき通すのは難しいでしょう。
さらに、
【日本に滞在している場合であっても、母に在留資格がある場合】は、
子についても在留資格が与えられるのですから(上記「定住者」に関する平成2年法務省告示第132号の第6号)、社会福祉に関する国籍条項が法令ないし運用上ほぼ全廃されている現在では、虚偽認知をしてまで日本国籍をとらせる動機がありません。
また、
【在留資格がないまま日本に滞在している外国人母が産んだ外国人父の子】
であっても、外国人父に在留資格がある場合で、結婚の可能性があれば、現在の実務では婚姻を理由に在留特別許可(入管法50条1項4号)が比較的容易に取得できるのですから、虚偽認知などという危ない橋を渡るバカはいません。
とすると、この度の法改正で、虚偽認知が問題になるのは、
【いずれも在留資格のないまま日本に滞在する外国人父と外国人母の間に生まれた子で、子が出生してからある程度経過しているケース】
に限られます。
ただですね、ここまで読めばわかると思いますが、実は単に在留だけを問題にするのであれば、上記の平成8年7月30日通達で、虚偽認知がばれなければ、これまでも在留特別許可は取得できたのです。改正法の施行後は、日本人から認知された子を養育している母が、国籍取得届を出さずに入管手続だけをしていると「なんで子の国籍取得届しないの?」と怪しまれますし、入管だって届出さえすれば国籍が取得できる子を退去強制手続に載せるのは仕事を増やすだけですから、国籍取得届を出さないと、在留特別許可の手続は進まないでしょう。要するにですね、今後は、いわゆる「定住母子」の事件は、入管と法務局の双方の審査を受けなければならなくなるので(手続がめんどうな分、認知をしてくれる人もみつけにくくなるでしょう)、虚偽認知で滞在をもくろむ人からすると、かえってめんどうなことになったのです。まあ、インターネットにでまわる法案に対する理解をみる限りは、簡単になったとカン違いしてチャレンジするおっちょこちょいもでてきそうですが。
まあ、今まで通りそれなりに手続を踏まなきゃってことです。
だいたい大挙して押し寄せるって、ねえ、みな自分たちの国で自分達の暮らしがあるわけで、いきなり全てを捨てて日本人になろうと危険を冒して押しかけてくる、しかも大量にって、そんなこと常識で考えてありえないでしょう、非現実的すぎ。
百歩譲って中国で大規模な内戦がおきて大量に難民が出た、というのなら、大挙して日本に来たがるかもしれませんが^^;
③巨額の血税が、偽装認知で生活保護の権利を得た外国人親族のために公然と使われる
については、②を前提としたものなので、終了。
だいたい真性日本人(ていうのかな?)でさえ、なかなか生活保護が受けられずに苦しんでいる人が多く、生活保護費も切り下げられてるってことを知らないんでしょうか?
ニッポソ人の夢の世界では、生活保護申請さえすれば悠々自適、バラ色の生活が待ってるんですね(笑)
先のエントリーと内容がかぶるのですが、これらの妄想は、改正前の実態はどうだったかという視点をきれいに忘れています。
今まで上のような犯罪的な目的を持った生後の偽装認知は行われて来ませんでした。
それはなぜでしょう?国籍取得の要件として設けられてた「両親の婚姻」が偽装認知防止効果を発揮してたからでしょうか?
いいえ違います。「両親の婚姻届け」に偽装認知防止効果なんかあるわけ無いことくらい、私でもわかります。
上のような犯罪的行為を偽装認知でやるメリットがなかったから偽装認知がなかったのです。改正で「両親の婚姻」の要件が外されても、それは全く変わりません。当たり前ですけど。
だからこそ最高裁は判決で次のように言ったのです。
「日本国民である父の認知によって準正を待たずに日本国籍の取得を認めた場合に,国籍取得のための仮装認知がされるおそれがあるから,このような仮装行為による国籍取得を防止する必要があるということも,本件区別(※両親の婚姻のこと)が設けられた理由の一つであると解される。しかし,そのようなおそれがあるとしても,父母の婚姻により子が嫡出子たる身分を取得することを日本国籍取得の要件とすることが,仮装行為による国籍取得の防止の要請との間において必ずしも合理的関連性を有するものとはいい難」い。
即ち、偽装認知防止という目的のために「両親の婚姻」を要件としたとも思われるが、今ではこの要件は偽装認知を防止するのに全然合理的なものじゃなく、実効性もない。だからこんな要件を残して生後認知された準正子と非準正子を差別する理由がない。といっているのです。
繰り返しますが偽装の危険性は今回の改正に伴って高まったわけではありません。
改正反対に熱心な方々はこれがすっぽ抜けているのです(と、何度説明してもわからないみたいで脱力ですけど・・・何度説明しても南京大虐殺も慰安婦もいなかったと信じてる思考回路だからなぁ・・・^^;)
というか、そもそも中国人や韓国人がそんなに日本の「国籍」を欲しがってるんだろうかという根本的な疑問が・・・^^;ちょと、うぬぼれすぎなんじゃないの?ゼノフォビアな方々って。ああ、自国にうぬぼれてるからゼノフォビアになるのかも。
偽装認知行為自体を防止せねばならないのは一般的に言って当然です。従って、現在でも認知申請の審査の時には水際で防止すべく色々調査しています。(調査の方法は日々新しく考え出されるでしょうから詳しく法律で制定するのにはなじまないと思います)
そしてその調査の際に出生前に認知を受けた子、生後認知をうけた非準正子、生後認知を受けた準正子の間に差が生じることは、今回の判決がこれらの間に差があることを憲法14条違反と判断しただけに、再び違憲の判断が下ることになるでしょう。
とすれば、DNA鑑定の義務づけはかなり難しいと言わざるを得ません。
春霞さんのエントリーからお借りしますが、DNA鑑定義務づけには
<1>親子関係法制全体に大きな影響を及ぼす、
<2>最初の認知届が出される市区町村の窓口あるいはこの国籍取得届が出される法務局では鑑定書の真正を判断できない、
<3>DNA鑑定には相当な費用がかかるため、費用がない者への不合理な差別(憲法14条違反)になるおそれ
<4>外国国籍の子を認知する機会にはDNA鑑定を義務づけるとすれば、それは外国人に対する不合理な差別(憲法14条違反)になるおそれ
などの問題が考えられます。
特に<4>に関しては、DNAという個人の生体情報を強制的に提出させるのは、入国する外国人に全て指紋押捺を義務づけた悪評高い入管法を彷彿とさせます。
また、下手にDNA鑑定などもうけたらそれこそ真に国籍を取得すべき人々の権利が侵害されるおそれがあると思います。(例えばどうしても父親側がDNA提出に応じないとか、父親が逃げて雲隠れとか、死んでしまった場合とかの強制認知など)
生後認知と出生前の認知との整合性も考えなくては不合理な差別となります。
いまのところ付帯決議にDNA鑑定を盛り込んでいないようですが、もしそうだとしたら賢明な判断だったといえるでしょう。
(2)へ続きます。
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