昨年末の報道記事になりますが、まずはこちらを。
●ことしの死刑執行7件 死刑囚は過去最多に
12月30日 12時4分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121230/k10014530841000.html
ことし(※去年になります)の死刑の執行は、3年前と同じ7件となった一方、全国の拘置所にいる死刑囚の数は133人と最も多くなりました。
裁判員裁判で言い渡された死刑判決が確定するケースもあり、死刑制度に対する議論をどのように進めていくかが課題となっています。
法務省によりますと、去年(※一昨年になります)は19年ぶりに死刑の執行がありませんでしたが、ことしは3月に3人に執行されたあと、8月と9月に2人ずつ執行され、1年間の死刑執行の件数は3年前と同じ7件となりました。
また、ことし死刑が確定したのは、山口県光市で主婦と幼い子どもを殺害した罪に問われた当時18歳の元少年など9人で、全国の拘置所にいる死刑囚は、これまでで最も多い133人に上っています。
死刑制度については、国民的議論を喚起したいと、おととし法務省に勉強会が設置されましたが、「存続や廃止についての意見は出尽くした」として、勉強会はことし廃止されました。
一方で、裁判員裁判では制度が始まってからこれまでに15件で死刑が言い渡され、このうち3件はすでに確定しています。
今後も一般の市民が死刑の判断に関わることが予想されるだけに、死刑制度に対する議論や執行などに関する情報公開をどのように進めていくかが課題となっています。
先進国と呼ばれる国の中で未だに死刑が存置されているのは、日本とアメリカだけです。
そのアメリカでさえも去年は死刑判決が過去最少の一昨年につぐ少なさだったそうです。
●米、死刑存続州の7割執行なし 判決も最低水準
http://www.47news.jp/CN/201212/CN2012122801000742.html
【ニューヨーク共同】米国で死刑制度がある33州のうち、ことし実際に死刑を執行したのは9州にとどまるとの調査結果を米調査団体「死刑情報センター」が27日までに発表した。死刑判決の数も78件で、死刑制度が復活した1976年以降最低だった昨年の76件に次ぐ少なさとなった。死刑執行数は計43だった。
米国ではことし4月コネティカット州が死刑を廃止し廃止州が17となった。同センターによると死刑制度はあるが5年以上執行していない州が12州あり、うち10年以上執行なしは7州に上る。
一方、カリフォルニア州で11月に実施された住民投票では、死刑廃止賛成は47%にとどまった。
昨年12/20の国連総会(193カ国)は、全ての死刑存続国に対し死刑廃止を視野に執行を停止するよう求める決議案を過去最多の賛成多数で採択しました。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121221/erp12122111370003-n1.htm# 日本とアメリカはそこでも北朝鮮、中国と並んでこの決議に反対していますが、アメリカでも死刑の是非が論議されたり、死刑の数が減ってきたりと、決して死刑推進の方向ではないことは確かです。
世界一の死刑大国、中国でさえも2012年は10%死刑を減らしたと報告しています。
●「死刑は減少傾向」 中国初の司法白書 (日経新聞)http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM09055_Z01C12A0FF1000/もっともこれは中国当局が死刑判決数や執行件数を公表しないままの自己申告なので真偽の程は分かりません。
しかし中国のような人権後進国でさえ(という言い方をしますが)、死刑の増加は国際的批判を受けるから避けるべきである、という自覚は持っているわけです。
日本にはその自覚すらないと言わなければなりません。
あるいは人権後退国と批判されても痛くもかゆくもないと開き直っているのでしょうか?
昨年の19年ぶりの死刑執行ゼロには国際人権連盟から賞賛の書簡が届いたのに、野田前総理はまるでその書簡をあざ笑うかのように速攻法相を変え、死刑執行が再開されました。世界的な死刑廃止への前進に対する実に挑戦的な態度です。
また、昨年死刑執行された飯塚事件の久間さんは、冤罪なのに刑を執行された可能性が非常に高くなりました。これは新聞の一面を飾っていい重大な出来事です。ところがこんな重大事もまるで存在しないかのごとく論議を呼ばず、タダひたすら意気揚々と死刑に邁進しているのです。
極右化に警戒を抱かれてる上にこの逆走ぶりですから、日本は本気で世界から孤立したがってるとしか思えません。
「存続や廃止についての意見は出尽くした」として、勉強会はことし廃止されましたが、もともと単にお飾り的、アリバイ的存在に過ぎない勉強会でしかなく、死刑廃止について真剣に国民的議論を発展させるつもりなど最初からないのはミエミエです。
千葉元法相は、死刑存廃の議論のきっかけにするためと死刑執行を行うという倒錯した愚挙を行いましたが、予想通り、そんなことは何の役にも立ちませんでした。千葉元法相の愚挙には改めて失笑するほかありません(失笑では済まされないけど)
前の記事にも関係しますが、裁判員制度も市民が直接死刑判決を下す体験を味わわせることによって、着実に死刑を不動のモノに根付かせる働きを担っているとおもいます。
安倍内閣の下でますます死刑は加速するでしょう。
日本がいかに世界人権宣言に反する道を逆走してるか、その事実を多くの日本人は知らなさすぎると思います。
日本は、国連で非難決議を採択される北朝鮮と同等の人権後進国だという事実を広く国民に自覚させるためにも、
国連で日本に対する非難決議でもしてもらいたいくらいです。
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