「独裁者の最強スピーチ術・試し読み」と、映画「ヒトラー」のご紹介
- 2013/01/31
- 10:00
「橋下の論理が破綻している」というのが有効な批判にならない事態に、我々は直面している。
— もなかさん (@djarum1973) 12月 3, 2012
という末期的なステージにまで到達している今日この頃、興味深い「試し読み」がありましたのでご紹介します。リンク先で読んでみて下さい。
「独裁者の最強スピーチ術」
http://ji-sedai.jp/works/book/publication/speechjutsu/01/01.html
(ちなみにブックレビューを見たら、この著者は橋下氏を支持しているらしいです。しかしこの試し読みの範囲では、著者の「道具としてのスピーチ術」の分析は優れていると思います。)
ヒトラーの語録も含め、一部を抜粋してみます。
今日、文筆にたずさわる騎士やうぬぼれ屋はみんな、
次のことをよく覚えておくがいい。
すなわちこの世界における最も偉大な革命は、決してガチョウの羽ペンで導かれたものでないのだ!ということを。
そうだ。ペンにはつねに革命を理論的に基礎づけることだけが残されている。
一般大衆にとっては、ヒトラーの怒りを帯びた演説が心に響いた。自分が心の奥底で思っていたことを、自分の代わりに言葉にして吐き出してくれるからだ。
ヒトラーほど、当時の一般大衆の不満や怒りや希望をいち早く見つけ、それを熱い言葉にして肯定してくれる政治家はいなかった。またヒトラーには、複雑な問題をわかりやすいスローガンにしてひと言で表現する才能もあった。
「すべての力強い世界的革新のでき事は、書かれたものによってではなく、語られたことばによって招来されるものだ」
学者などの理論家では指導者になれず、演説によって大衆の心をつかめる者だけが指導者になりうるのだということを強調する。
「偉大な理論家が、偉大な指導者であることはもっとまれである。むしろ扇動せんどう者のほうが指導者にむいているだろう。(中略)
ある理念を大衆に伝達する能力を示す扇動者は、しかもかれが単なるデマゴーグ(大衆扇動家)にすぎないとしても、つねに心理研究家であらねばならない。そうすればかれは、人間にうとい、世間から遠ざかっている理論家よりも、つねに指導者にもっとよく適するであろう。というのは、指導者であるということは大衆を動かしうるということだからである」
いかがでしょう、橋下氏に心当たりてんこ盛りではないでしょうか
実際に橋下氏の言ってることを書きおこしたものや橋下氏のツイッターを読んでみると驚くほど矛盾だらけで、小学生でも突っ込めるほどボロボロです。
以前私もMBS記者に逆ギレした記者会見を書き起こしたことがありますが、文字にして分析するといかにデタラメかよくわかるのです。
けれどスピーチやディベートで人々に速攻与える印象と、文字で人々に与える印象とでは残念ながら大衆に訴える力は圧倒的に前者が上です。
論旨の正しさより感情の部分に訴える方が遙かに効き目があるのはブルータスとアントニーの時代も今も変わりません。それをヒトラーも橋下氏もよく心得ているのがわかります。
あと、ヒトラーも学者や知識人を毛嫌いしていたこと、感情にまかせて怒鳴り立てているように見えるが実は計算され尽くした演技であったこと、柔和な態度と高圧的な態度の使い分けも橋下氏と共通しているな、と思いました。
こういう人物を決して過小評価してはいけないし、いずれ民衆が見放すだろうという楽観的な見通しは絶対に禁物です。常に最悪の事態を予想して当たらなければ、と思います。ヒトラーも首相になるまで過小評価されていました。
この試し読みを読んでから次の映画を鑑賞するとより味わい深いかもしれません。
『ヒットラー 第1部:我が闘争』
『ヒットラー 第2部:独裁者の台頭』

監督:クリスチャン・デュゲイ
脚本:ジョン・ピールマイアー
キャスト: ヒットラー/ロバート・カーライル ヒンデンブルク/ピーター・オトゥール フリッツ/マシュー・モディーン
この映画はヒトラーの幼少時がプロローグで流れ、軍人として大物になれる器ではなかった実に冴えない画家志望の青年が、やがて自らの弁舌の才に気づきどんどんのしあがり、ついには全権委任法を成立させるまでの「メイキング・オブ・ヒトラー」を描いています。
それは弁護士としての評判がすこぶる悪く、そのままでは決して一目置かれる存在になれなかったであろう冴えない青年が、やがてテレビの申し子となり、どんどんのし上がる姿と重なります。
ナチスが警戒されながらも次第に無視できないまでに成長していき、権力を次々掌握して人々をひれ伏させる様は、まさに4年かけて大阪で独裁的に振る舞う力を持つようになり、国政政党にまで成長した維新の怪そのものです。
見ているとあまりにダブりすぎて怖いほどです。
この映画はドキュメンタリーではないのでフィクションも多々含まれていると思いますが、見応えのある作品に仕上がっていると思います。
GyaOで無料配信されていましたが残念ながら昨日で終了となってしまいました。
鑑賞ご希望の方はレンタル店にGO!
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