新たな第三極(?)として国民の生活が第一、減税日本、反TPP党、元民主党、等々のメンバーが脱原発で集結し、未来の党が結成されました。国民の声に寄り添える「真の第三極」が現れたと歓迎する向きもあります。
でも残念ながら、私はこの党に積極的に良い評価を下すことは出来ません。
以前に少し理由を書きましたが、私には急遽結成されたこの党は
「第二民主党」としか思えないからです。
確かに自民、民主、王政復古党(もはや三位一体と言って良いでしょう)の票はいくらか奪ってくれそうではあります。
とにかく自民、維新という最悪の結果を回避し少しでもマシな方向に進行方向を変えるには、少々の難には妥協して未来の党を応援する、という「ベストではないがベターな選択を」という気持ちはわからんでもありません。
けれどもう、そういう
小手先の応急処置はかえって右傾化の症状を悪化させてしまうことを、私達は政権交代劇から学ぶべきだと思います。
3年前の政権交代劇から私達が何か教訓を得られるとしたら、これではないでしょうか。
常に過去に学びそれを生かす、という作業を怠らないようにしたいものです。
民主党は打倒自民の「寄せ集め」でした(今の未来の党は減税から生活や民主までの寄せ集めです)。
所謂「右派」から「左派」まで様々な人がいましたが、中心人物はかつて自民党などの保守政党に所属していた保守勢力でした。
そして連合というかなり体制寄りな労組(って日本独特の不思議な存在ですね)が支持母体でした。
だから政権を取った後はみるみるうちに自民党よりも自民党らしい第二自民党に転落していくのは最初から十分予想できていたし、事実その通りになりました。
それが何をもたらしたでしょうか。
国民の間にもたらされたのは自公時代にもまして激しい失望と政治不信、
どうせどこを選んでも同じ、政権交代しようが何をしようがどうせ何も変わらない、ムダだという無力感でした。
以前より増したこの閉塞感がいわゆる「自由からの逃走」という思考停止、英雄待望の空気を生み出し、過激なポピュリスト橋下を登場させ、一気に社会の空気を右傾化させたのです。あげく、そんな民主党に納得できない党員や、それが原因で傾いた船から逃げようとする党員は民主党から離反し、空中分解状態です。
また、第二自民党である民主党は自らが小泉路線を突き進むために、小泉構造改革の詐欺を国民に暴いてみせることは決してしませんでした。だから小泉と同じ手法を使った橋下氏にいとも簡単に騙されるのです。
ですから、
橋下を政界に導き、世界も警戒するような日本の極右化を招いた犯人は、民主党なのだ、という側面は否定できないでしょう。
肉を切らせて骨を断つ、ではありませんが、3年前の自民の敗退は、実は更に世の中を極右化させるためにパワーアップしてカムバックするための布石だったとさえ思えます。
真性ネトウヨ安倍氏が自民で再選されたのは決して偶然ではありません。
今の激しい右傾化の種は、野合の党である民主党に自民降板の応急処置を任せた「政権交代」に内在してのだと私は判断しています。
なのに、またその政権交代時と同じような応急処置を繰り返そうとしているように思えてなりません。
二度も同じ応急処置に頼るようでは確実に右傾化症状は悪化します未来の党を積極的に評価した声を載せた毎日新聞の報道があります。
特集ワイド:「嘉田新党」を考える
毎日新聞 2012年12月03日 東京夕刊
http://mainichi.jp/feature/news/20121203dde012010015000c.html ここから少し引用しましょう(記事全文はリンク先でお読みください)
「未来」が発表した「びわこ宣言」は「経済性だけで原子力政策を推進することは、国家としての品格を失い、地球倫理上も許されない」と述べている。非常にわかりやすく、国民の切なる願いに応えようという姿勢を感じる だったら何故「即時ゼロ」を打ち出すことを躊躇するのでしょうか。
今度未来の党から出馬する飯田哲也氏は
「原発がなくても電気は足りる!」という著書を書いた人です
原発無しで電気が足りるなら何故未来の党は原発即時ゼロを言わず、10年、更に前倒しは可能、という何歩か後退したことを主張するのか私には理解できません。
「シングルイシュー(※脱原発のシングルイシュー)で政党が成り立つのか」という批判が出ているが、原発以外の基本政策も、消費増税の凍結、雇用の拡大、TPP交渉入り反対など明快だ。エネルギー問題は国の最重要課題なので、そこで一致する政治家が集まるのは野合ではない。 実際はそのシングルイシューでさえも危ういのではないかと私は心配しています。
なぜなら嘉田党首はこの夏の大飯原発再稼働賛成に回っているからです。
●
大飯稼働「認めるしかない」滋賀知事が軌道修正 また、青森で未来の党から立候補予定者は原発推進としか思えません
●kojitakenの日記
「日本未来の党」から立候補予定の「国民の生活が第一」の青森1,2区の候補予定者、使用済み核燃料の再処理と大間原発建設の継続を容認だって(呆)結党したしょっぱなからこれでは不安です。「野合」といわれても仕方ないのではないでしょうか
消費税も「増税反対」ではなく「凍結」とするあたり腰が引けていていつかは税率アップに手を出すことを前提としているようですね。民主党の「4年間は据え置き」を思い出させます。そして4年間据え置きの公約が守られなかったのは周知の通り。
国民の生活が第一や減税日本のような小さな政府嗜好の政治家が、大きな政府の下で実現可能な真の雇用拡大政策をとれるとも思えません。
中学生以下に年31万円、子育て応援券を公約に掲げていますが、財源はなんと特別会計の見直しなどで捻出するそうです(日経新聞
http://t.co/bdXjz0wU)
これには呆れてしまいました。民主党時代散々事業仕分けで「ムダを削った」にも関わらず財源捻出にはいたらなかったことを忘れたのでしょうか?
未来の党の東祥三前衆院議員は「自衛隊は軍隊と明記を」「集団的自衛権行使へ法整備すべき」という改憲発言を行いました。(赤旗
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-12-02/2012120202_05_1.html)
これに反して嘉田代表は報道ステーションで、明確に集団的自衛権は認めない、国防軍にも反対と断言したそうです。
でも出だしからこうもバラバラでは信頼できません。
それに、
集団的自衛権を認めず国防軍にも反対という主張がとことん本気ならば、どうして安全保障基本法の制定を公約に掲げるのでしょうか? 憲法改正に積極的に反対する政治家はどれだけいるのでしょうか?
いずれ集団的自衛権も「国防軍」もなし崩しになるのはないかとの疑問がぬぐえません。
(安全保障基本法を制定しようとする政党を9条護憲サイトであるマガジン9が積極的に支持するのは、私には不思議です。)
耳に心地よい公約を掲げるだけなら、3年前の民主党にだって簡単に出来たことです。
問題はそれを本気で完遂できる政治家がそろっているかどうかです。
でもこういう野合的な実態を見る限り、私はとても「国民の声により添える党」と信頼することが出来ないのです。
民主党がたどった道をたどりそうな予感がひしひしと。
政権交代では、寄せ集めの最大公約数で出来るだけたくさんの支持をつかもうと試みて、一旦はそれが成功しました。一時的に自民を降板させることは確かに実現できました。
でも長期的に見れば結局「自民党的なモノ」をより強固に復活させる前振りにしかなりませんでした。
のっぴきならない今の状況だからこそ、私はこの「政権交代劇」の教訓を生かして欲しいと思うのです。
向川まさひでさんが下さったコメントに私も共感しますので、ご紹介しましょう。
http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-1084.html#comment10086
連携と合流
2012.11.28 ( Wed ) 01:09:36 | 向川まさひで | URL | Edit
「未来の党」については、脱原発や消費税増税を掲げる諸政党が連携する要となりうるかと期待もありましたが、
「減税」や「生活」などの「合流」という結果を見て、失望しています。
政党の合流というのは、十分に議論して政策をすり合せ、信頼関係を作って行うものではないでしょうか。特に、これまで自らの政策と議員、党員を持ってきた「生活」が、わずか1日で合流を決めるというのは私には理解できません。
連携はしても、既存政党の安易な「合流」という道はとるべきではなかったと思います。安易な政党の離合集散はその政党・議員を支持した支持者・有権者不在の行為であり、政治不信を増幅させるものです。
脱原発にそうした要素が持ち込まれ、脱原発政策そのものに有権者の疑念を招くことを懸念します。
とはいえ、こうした動きが起きること自体、脱原発・消費税増税反対という世論が高まっていることの証左ですし、
一致点での共闘は私たちの党も含めて今後も大いに行うべきだと思います。
ただ、4年前の「打倒自公政権のために民主党に一本化すべき」を「脱原発・増税阻止」と「未来」に置き換えたような議論には、反対せざるを得ません。
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