デマに盛り上がる心理~国籍法改正はきちんと事実を確かめてから怒っているのですか?
- 2008/11/27
- 02:06
およそ事実とかけ離れた勘違いのデマに大勢のネットユーザー達が盛り上がる現象が、国籍法改正にあたってネットで広がっています。
この騒動を知って先日河野太郎議員のブログ、ごまめの歯ぎしりを見てみたら、コメント欄が炎上していました。
この愚かな騒ぎに私が感じた事を少し。
1. まず、河野議員は改正案を提出したのは自分ではない、法務省が作成し、政府が閣議決定した内閣提出の法案だと言ってるにも関わらず、こんな法案出すなど売国奴だ、と河野議員をいまだに中傷するコメントが多数寄せられています。
批判するなら最低ブログ記事にかかれてあることはきちんと読んでからコメントすべきでしょう。
国籍法改正に反対するのはだいたいこういう‘聞く耳持たず’の方が多いようです。
2. 今回の国籍法改正は、最高裁が国籍法3条は違憲であるという判決を出したのを受けて行おうとするものです。
それに対し、改正により偽装認知が乱発され、中国人(あるいは韓国人)がどっと押し寄せ日本がのっ取られるようになるぞ!というおよそありえない妄想をふくらませ、戦いを挑んできてるわけですが、そもそもこの訴訟の原告はフィリピン人の母親とその子供で、中国人や韓国人じゃないんですね^^;
でも、「フィリピンに乗っ取られたいのか」ってコメントは無くて、何故か皆、中国や韓国(爆)
凄い強迫観念に呆れてしまいますが・・
もうこれだけで、国籍法改正を言いがかりにした特アに対するゼノフォビア、レイシズムむき出しでしかないことがよくわかります。
3. では、この改正により、本当に彼らが言うとおり今よりも偽装による国籍取得が簡単になってしまうのでしょうか?それを検証してみましょう。
その前に、今回の国籍法改正の目的を軽いおさらいしておきます。
日本人の男性と外国人の女性が、結婚していない状態で妊娠、出産した場合、
出生前に認知すれば子供は日本国籍を取得できます。
ところが出生後は認知しただけではダメで、両親が結婚することが子供の日本国籍取得の条件となるのです。
出生前なら認知だけで国籍取得できるのに、何故出生後は認知のみならず両親の婚姻まで国籍取得の要件とされるのか、出生前と出生後で要件を差別する合理的理由はおよそ認められません。
また、出生後認知を受けた子供達の間でも、両親が結婚したかどうかで国籍取得が差別されるわけですが、それにも合理的な理由はやはり認められません。
そこで、出生後認知された子供が国籍取得するのに両親の結婚を要件とするのは合理的理由のない差別であり、法の下の平等(憲法14条)に反するという違憲判決が出たのです。
それを受けて、出生後認知された子供は、両親が結婚しなくても国籍取得出来るようにしよう、両親の結婚という要件を外し、出生前と同様認知だけでいいことにしよう、というのが今回の改正なのです。
では、この両親の婚姻届け提出という要件が外されたとたん、急に偽装認知乱発が始まるというのでしょうか?それは全くおかしな話です。
現在では、生後認知を受けた子供が日本国籍を取得できる条件は、「両親の結婚」です。
かれらは、偽装認知が増えるから改正するなというのですが、でしたら両親が婚姻届を出すことがその認知が偽装でないことを担保すると考えてるのでしょうか?
今だって、もし既に生まれている子供を日本人の子だと偽って日本国籍を取得させたいのであれば、偽装認知届と偽装婚姻届けを出すでしょう。
改正により変わることと言えば、二枚(偽装婚姻届と偽装認知届)出していた偽造公文書が一枚(偽装認知届)になるだけです。一枚であろうが二枚であろうが‘難易度’に何ら変わりありません。つまり、今回の改正で中国人や韓国人が今より簡単に、違法に日本国籍を取得できる、なんてことはありえないのです。よって彼らが改正に反対する「今よりも偽装による国籍取得が簡単になってしまう」との言い分は、単なる事実誤認の思いこみでしかなく全く根拠がありません。
また認知に際しDNA鑑定を行わなければ、すぐにでも偽装認知が大量発生して日本国籍が乗っ取られるから、DNA鑑定を義務づけない限り改正はするな、との主張ですが、これもおかしな話です。
現在出生前ならば認知だけで国籍取得ができます。これ、すでに反対派が偽装認知続出を懸念している制度そのものなんですけど・・(爆)
出生前に認知された子供にDNA鑑定はなされていませんが、「中国人による大量の日本国籍乗っ取り」は起きていません(笑)
(父親が日本人でなくとも子供に日本国籍を取得させようとする不届きなたくらみを企てるなら、なにもすでに生まれた子でなく、これから生まれる子だってダシに使うでしょう)
そして、出生後認知され国籍取得するケース(両親が結婚した場合)においても、認知に際してのDNA鑑定は行われていません。でも、「中国人による大量の日本国籍乗っ取り」はやはり起きていません(笑)
DNA鑑定がない今だって乗っ取りは行われてないのです。
だったら、「改正でDNA鑑定を設けなければ‘今よりも’大量の偽装認知が発生する」ということはありません。すくなくとも今より大量発生するという根拠は何もない。大量発生するならもう既に起きていますから(笑)
それとも両親が婚姻届を出すことが、その子が真に日本人の父親の血を引いていることについてDNA鑑定に変わるほどの証明力を持つとでもいうのでしょうか?偽装結婚とかあるのにおかしな話ですね?
このように、彼らが改正に反対している理由は、およそ成り立たない失当なものです。
中国人に日本国籍が占領されるって、もう、妄想どんだけ~。
こういう人達は、台風が来ても地震がおきても中国人の陰謀のせいにするんでしょうね。
ちょっと事実確認すれば実に簡単にわかることなのに、何故知ろうともしないでこれほど改正反対とありえない誇大妄想話で盛り上がるのでしょうか?
それだけ嫌韓、嫌中という差別感情が潜在的に蔓延しているということでしょうか。
偽装による国籍取得防止という一見もっともらしい口実をみつけて、その差別感情を表に堂々と吐き出し溜飲を下げている、としか思えないです。
彼らはおそらく、現在の国籍法では生後認知をうけた子供が国籍を取得する人権を理不尽な理由で侵害されており、改正によってどのようにそれが是正されるか、ということに関しておよそ無関心だし、無知であると思われます。
関心あるのは、特アの排除だけ。こういうさもしい心を正義感の発露と勘違いしている人が多いのにはがっかりします。
いくつかのブログをみると、熱心に反対してる人達の中には、日本を守るため、そして、子供達が不当に人身売買されないためという恐ろしい間違いを信じている‘善良な人々’もいます。そういう人々は自分の醜いゼノフォビア、レイシズムに気付いていないのですから、始末が悪いです。
この騒動を知って先日河野太郎議員のブログ、ごまめの歯ぎしりを見てみたら、コメント欄が炎上していました。
この愚かな騒ぎに私が感じた事を少し。
1. まず、河野議員は改正案を提出したのは自分ではない、法務省が作成し、政府が閣議決定した内閣提出の法案だと言ってるにも関わらず、こんな法案出すなど売国奴だ、と河野議員をいまだに中傷するコメントが多数寄せられています。
批判するなら最低ブログ記事にかかれてあることはきちんと読んでからコメントすべきでしょう。
国籍法改正に反対するのはだいたいこういう‘聞く耳持たず’の方が多いようです。
2. 今回の国籍法改正は、最高裁が国籍法3条は違憲であるという判決を出したのを受けて行おうとするものです。
それに対し、改正により偽装認知が乱発され、中国人(あるいは韓国人)がどっと押し寄せ日本がのっ取られるようになるぞ!というおよそありえない妄想をふくらませ、戦いを挑んできてるわけですが、そもそもこの訴訟の原告はフィリピン人の母親とその子供で、中国人や韓国人じゃないんですね^^;
でも、「フィリピンに乗っ取られたいのか」ってコメントは無くて、何故か皆、中国や韓国(爆)
凄い強迫観念に呆れてしまいますが・・
もうこれだけで、国籍法改正を言いがかりにした特アに対するゼノフォビア、レイシズムむき出しでしかないことがよくわかります。
3. では、この改正により、本当に彼らが言うとおり今よりも偽装による国籍取得が簡単になってしまうのでしょうか?それを検証してみましょう。
その前に、今回の国籍法改正の目的を軽いおさらいしておきます。
日本人の男性と外国人の女性が、結婚していない状態で妊娠、出産した場合、
出生前に認知すれば子供は日本国籍を取得できます。
ところが出生後は認知しただけではダメで、両親が結婚することが子供の日本国籍取得の条件となるのです。
出生前なら認知だけで国籍取得できるのに、何故出生後は認知のみならず両親の婚姻まで国籍取得の要件とされるのか、出生前と出生後で要件を差別する合理的理由はおよそ認められません。
また、出生後認知を受けた子供達の間でも、両親が結婚したかどうかで国籍取得が差別されるわけですが、それにも合理的な理由はやはり認められません。
そこで、出生後認知された子供が国籍取得するのに両親の結婚を要件とするのは合理的理由のない差別であり、法の下の平等(憲法14条)に反するという違憲判決が出たのです。
それを受けて、出生後認知された子供は、両親が結婚しなくても国籍取得出来るようにしよう、両親の結婚という要件を外し、出生前と同様認知だけでいいことにしよう、というのが今回の改正なのです。
では、この両親の婚姻届け提出という要件が外されたとたん、急に偽装認知乱発が始まるというのでしょうか?それは全くおかしな話です。
現在では、生後認知を受けた子供が日本国籍を取得できる条件は、「両親の結婚」です。
かれらは、偽装認知が増えるから改正するなというのですが、でしたら両親が婚姻届を出すことがその認知が偽装でないことを担保すると考えてるのでしょうか?
今だって、もし既に生まれている子供を日本人の子だと偽って日本国籍を取得させたいのであれば、偽装認知届と偽装婚姻届けを出すでしょう。
改正により変わることと言えば、二枚(偽装婚姻届と偽装認知届)出していた偽造公文書が一枚(偽装認知届)になるだけです。一枚であろうが二枚であろうが‘難易度’に何ら変わりありません。つまり、今回の改正で中国人や韓国人が今より簡単に、違法に日本国籍を取得できる、なんてことはありえないのです。よって彼らが改正に反対する「今よりも偽装による国籍取得が簡単になってしまう」との言い分は、単なる事実誤認の思いこみでしかなく全く根拠がありません。
また認知に際しDNA鑑定を行わなければ、すぐにでも偽装認知が大量発生して日本国籍が乗っ取られるから、DNA鑑定を義務づけない限り改正はするな、との主張ですが、これもおかしな話です。
現在出生前ならば認知だけで国籍取得ができます。これ、すでに反対派が偽装認知続出を懸念している制度そのものなんですけど・・(爆)
出生前に認知された子供にDNA鑑定はなされていませんが、「中国人による大量の日本国籍乗っ取り」は起きていません(笑)
(父親が日本人でなくとも子供に日本国籍を取得させようとする不届きなたくらみを企てるなら、なにもすでに生まれた子でなく、これから生まれる子だってダシに使うでしょう)
そして、出生後認知され国籍取得するケース(両親が結婚した場合)においても、認知に際してのDNA鑑定は行われていません。でも、「中国人による大量の日本国籍乗っ取り」はやはり起きていません(笑)
DNA鑑定がない今だって乗っ取りは行われてないのです。
だったら、「改正でDNA鑑定を設けなければ‘今よりも’大量の偽装認知が発生する」ということはありません。すくなくとも今より大量発生するという根拠は何もない。大量発生するならもう既に起きていますから(笑)
それとも両親が婚姻届を出すことが、その子が真に日本人の父親の血を引いていることについてDNA鑑定に変わるほどの証明力を持つとでもいうのでしょうか?偽装結婚とかあるのにおかしな話ですね?
このように、彼らが改正に反対している理由は、およそ成り立たない失当なものです。
中国人に日本国籍が占領されるって、もう、妄想どんだけ~。
こういう人達は、台風が来ても地震がおきても中国人の陰謀のせいにするんでしょうね。
ちょっと事実確認すれば実に簡単にわかることなのに、何故知ろうともしないでこれほど改正反対とありえない誇大妄想話で盛り上がるのでしょうか?
それだけ嫌韓、嫌中という差別感情が潜在的に蔓延しているということでしょうか。
偽装による国籍取得防止という一見もっともらしい口実をみつけて、その差別感情を表に堂々と吐き出し溜飲を下げている、としか思えないです。
彼らはおそらく、現在の国籍法では生後認知をうけた子供が国籍を取得する人権を理不尽な理由で侵害されており、改正によってどのようにそれが是正されるか、ということに関しておよそ無関心だし、無知であると思われます。
関心あるのは、特アの排除だけ。こういうさもしい心を正義感の発露と勘違いしている人が多いのにはがっかりします。
いくつかのブログをみると、熱心に反対してる人達の中には、日本を守るため、そして、子供達が不当に人身売買されないためという恐ろしい間違いを信じている‘善良な人々’もいます。そういう人々は自分の醜いゼノフォビア、レイシズムに気付いていないのですから、始末が悪いです。
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「国籍法改正反対」をリードする産経新聞
皆さん、こんばんは。
日本を代表するクオリティーペーパー・産経新聞を愛するgegengaです。
今日は皆さんといっしょに、産経新聞が日本を滅ぼす「国籍法改正」とどう闘っているかを見ていきましょう。
なお、事前に、昨日の記事を読んでおいてくださると、より一
- 2008/11/27(16:53)
- かめ?
「すべて人は、国籍をもつ権利を有する。」(世界人権宣言第15条) (国籍法改正について)
2008年6月4日の最高裁の判断をもとに、今回の国籍法改正が行なわれつつあります。その最高裁判断について、以前こんな記事を書きました。
...
- 2008/11/27(22:11)
- 村野瀬玲奈の秘書課広報室
国籍法改正の趣旨を理解せず反対の理由だけを探す態度はいただけないと思います。(1)
国籍法「改正」について書いた前の記事、 『「すべて人は、国籍をもつ権利を有する。」(世界人権宣言第15条) (国籍法改正について)...
- 2008/11/27(22:12)
- 村野瀬玲奈の秘書課広報室
婚外子国籍確認訴訟(2):国籍取得のためにDNA鑑定を義務づける規定は妥当なのか?~DNA鑑定自体を取り入れることは大歓迎ですが、本当にいいのですか?
国籍法改正案は、平成20年11月18日午後の衆院本会議で、全会一致で可決、参院に送付されました後、反対にあって迷走を続けていました...
- 2008/11/29(23:54)
- Because It\'s There