昨日の
こちらのエントリ-、中日新聞の書きおこし内では書きませんでしたが、公聴会で発言した中電社員は「放射能の直接的な影響で亡くなった人は一人もいない」と言い切っています。
「放射能の直接的な影響で亡くなった人は一人もいない」
これは、原発推進したい人々から繰り返し言われて続けてきた暴論ですが、いまだに、それも電力会社関係者からの口から恥ずかし気もなく出てくるとは、やはりこの国の親方日の丸独占企業である電力会社は一度解体しなくてはどうにもならないとの感を強くします。
「放射能の直接的な影響で亡くなった人は一人もいない」それは単に致死量に至る放射線を浴びて死んだ人はいなかった、と言うだけの話であり、外部被曝内部被曝とも、放射線の影響はこれから5年10年たってから出てくるのだと言うことは、いまや小学生ですら知っています。
この暴言を的確に批判した東京新聞のコラムをメモしておきましょう。
◆東京新聞 コラム「筆洗」(2012/7/18)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012071802000083.html
まるで、呪文のように原発推進派から吐き出される言葉がある。「放射能の直接的な影響で死んだ人は一人もいない」。福島第一原発の事故で放出された大量の放射能の影響が将来どんな形で出るのか、専門家の間でも意見が分かれているが、そんなことは関係ないらしい▼逆に想像してみたい。事故がなかったら、どれだけの人が死ななくて済んだか。国会事故調査委員会によると、事故直後の約三週間、避難区域になった二十キロ圏内の病院と介護老人保健施設で、少なくとも六十人が避難後に死亡したという▼農業や酪農の先行きを悲観した人、職を失った人、避難生活のストレスでうつ病になった人…。多くの人が自ら命を絶った。その姿は想像できないようだ▼将来の原発比率はどうあるべきか。政府主催の意見聴取会(名古屋市)でもこの呪文が飛び出した。個人の意見として「放射能で死んだ人はいない」と言い切ったのは、20~25%案を支持した中部電力の課長だ▼仙台市の意見聴取会では、社の意見を代弁する形で東北電力の部長が原発の維持を強く訴えた。利害当事者側が「国民の声」を名乗ることに強い違和感を覚える▼これまでの聴取会は、選ばれた発言者が持論を述べるだけだった。政府が目指すという国民的議論からはほど遠い。「議論は尽くした」というアリバイ工作に利用されてはたまらない。
(太字は私)
この暴言がどれほど原発被災者を傷つけるものか、少しは想像力を駆使してもらいたいものです。
もうひとつ、この中電社員は毎度おなじみ「原発をなくせば経済や消費が落ち込み、日本が衰退する」との脅し文句も飽きもせず放言しています。(ちなみに、よく耳にする脅し文句に「電気が足りなくなって広範囲で停電したら命に関わる」というのもあります。主旨は同じです)
原発がなくなれば電力の供給量が落ち込むのでその分産業が衰退する、とのことですが、小出裕章教授のこちらの話をどうぞ。
●原発Nチャンネル14 原発なしでも電力足りてる 小出裕章
ちなみに、野田総理が国民の生活を守るためと力説して大飯原発再稼働させた関西電力管内はというと、
関電、大飯再稼働なくても電力供給に余力
2012年7月18日 09時49分
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012071890094758.html
政府の節電要請から16日までの2週間の関西電力管内の電力需給で、最大需要は2301万キロワットにとどまり、出力118万キロワットの大飯原発3号機(福井県おおい町)が再稼働しなくても、供給力を9%下回っていたことが分かった。猛暑となり17日の最大需要はこの夏一番の2540万キロワットに達したが、10%以上の供給余力があった。政府は夏場の電力不足を理由に強引に大飯原発の再稼働に踏み切ったが、節電効果など需要の見通しの甘さが浮き彫りになった。
関電は5月にまとめた試算で、原発ゼロのままなら7月前半は8・2%の供給力不足が生じるとし、再稼働の必要性を強調した。政府は大飯の再稼働を決めた上で、関電管内に猛暑だった2010年夏比で15%の節電を求め、3号機のフル稼働後も節電目標を10%に設定している。
政府は2日に節電要請を開始。関電の資料などによると、16日までの2週間の最大需要は10年同時期と比べて平均で12%低下。最大需要の2301万キロワットを記録した瞬間は供給力を344万キロワット下回り、大飯3号機の118万キロワットを差し引いても余裕があった。需給が最も逼迫(ひっぱく)した時間帯でもさらに209万キロワットの供給が可能だった。
一方、関電に平均36万キロワットを融通している中部電力も2週間の最大需要は2139万キロワットで、供給力を9%下回った。中電管内の節電目標は当初は5%で、現在、4%に設定されているが、安定した供給体制を確保している。
関電広報室の担当者は「雨や曇りの日が多く供給が安定したが、今後は気温が平年より高くなるとの予報がある。大飯原発4号機が稼働しても需給の見通しは厳しい」とコメント。中電広報部の担当者も「火力発電所のトラブルリスクなどがあり、電力供給は厳しい」と話した。
千葉商科大の三橋規宏名誉教授(環境経済学)は「政府や電力会社が、原発を再稼働させるため、電力需要を恣意(しい)的に過大に見積もった結果だ。今後、猛暑になっても電力は足りると思うが、脱原発の機運を高めるため、引き続き企業と家庭で節電の努力が必要」と話した。
(中日新聞)
原発なくても電力をまかなうのは困難ではないではありませんか。
ならどうして原発ゼロにすることによって経済が衰退するのですか?経済の衰退を心配するのなら、生活保護水準より低い最低賃金を見直さず、雇用保険も拡充せず、不安定な非正規雇用、ブラック労働をそのまま放置し、消費税を上げるという破壊的な新自由主義政策を続行することを心配した方がいいです。
CO2の問題もありますからいつまでも旧来の火力発電に頼るわけにも行かないでしょう。当面火力と水力と自家発電でまかなってる間に、何故全力で新しい代替エネルギー手段を開発しようとしないのでしょうか?それこそ技術大国の面目躍如でしょう?日本は火山も多いのですから
地熱発電だって期待できますし、太陽光発電だってもっと研究を重ねて技術を進歩させることだってできるでしょう。
それを新しいビジネスチャンスと捉える柔軟さがあってもいいのではないですか?
そうしようとしないのは、原発産業が国民の安全と自然環境を一切顧みない「既得権益」「利権」だからなのではないですか?
「放射能の直接的な影響で亡くなった人は一人もいない」という、原発被災者に自分たちが何をしたのか自覚がこれっっぽちもない暴言、
「原発をなくせば経済や消費が落ち込み、日本が衰退する」という、自分たちの金儲けのためのウソの脅し文句
中電社員もいまだに常用するこの二つの決まり文句は、原発推進に使われるトンデモ暴言と認定して、記録しておきましょう。
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