大飯原発の断層も危険だし、志賀原発の敷地内の断層も活断層の可能性が高いのに、電力会社と国と来たら・・
- 2012/07/19
- 09:00
<大飯原発の断層について>
大飯原発再稼働が科学的に見てちっとも安全ではないことをこちらで以前触れました。
・大飯原発再稼働について報道のまとめ
・大飯原発の「防災拠点センター」は災害が起きたら真っ先に被災する!
大飯原発下の断層については、敷地内を走る軟弱な断層(破砕帯)が動いて地表がずれる可能性があるとの専門家の分析が出ています。
もしもこの断層が動いて大きな地震がおきても、現在の大飯原発にはそれに対処できるだけの備えは無いと言わざるをえません。それなのに再稼働、しかも夏限定の臨時再稼働ではなく恒久的な再稼働に踏み切ったのですから、野田政権は狂気の沙汰です。
現在行われている大飯原発差し止め裁判では、先日この断層について審尋が行われました。
ブログ「薔薇、または陽だまりの猫」が報告してくださっています。
報告 大飯原発運転差し止め裁判 第3回審尋(7月9日)
原発敷地内を走る断層(F-6破砕帯)について
関 電:「反論に8月末までかかる。整理がつかない」
裁判長:「破砕帯の問題は設置のときの問題ですから」と関電の態度を批判
7月9日、午後1時半から、約20分、大阪地方裁判所508号室で第3回審尋が行われました。原告の傍聴は30名、関電側は9名でした。
原告は、大飯原発敷地内を走る断層(F-6破砕帯)が活断層の可能性が高いことを主張として追加し、運転停止を早急に求めました。関電の制御棒挿入時間に関する批判とあわせ、主張書面(3)、証拠説明書、主張要旨を提出しました。
裁判長は、制御棒挿入時間の問題についても、また新たに追加した断層問題についても、非常に的確に、関電側に質問をしていました。関電側は、まったく行き詰まってしまっています。関電が積極的に発言するのは、時間稼ぎだけでした。
関電が断層についての反論に「8月末までかかる」と発言したときには、傍聴席からはブーイングの声が湧きました。裁判長は、傍聴席をなだめて、次回期日の調整を続けました。原告の思いはよく伝わっているようでした。正午から裁判所前で行ったアピールも届いていたのかもしれません。
次回が結審となります。8月13日(月)午後1:30~ 大阪地裁508号室です。
第3回審尋のポイントを紹介します。
◆断層問題の反論に「8月末までかかる」(関電)
断層(破砕帯)問題について、関電弁護士は「F-6について、反論は8月末までかかる。整理がつかない」と発言。これに対して裁判長は、「破砕帯の問題は設置のときの問題ですから」と、なぜそんなに時間がかかるのか、すぐに出せるはずだというニュアンスで、関電の発言に首をかしげながら語りました。「掘って調査をしてその結果をと言っているわけではないので」と。関電側は、「渡辺氏の主張もあり・・・」と、まったく逃げ腰です。断層問題について関電は、7月3日の国の「地震・津波に関する意見聴取会」に資料も出さず、他方では運転再開は強行するという、まったく許し難い態度です。
◆制御棒挿入問題でも関電の主張の問題点を指摘する裁判官
地震のときに制御棒が基準値以内に挿入されるのかという問題について、関電は6月27日にやっと書面を出してきた。そこでは、これまでの制御棒挿入の評価値は2.16秒としていたものを「1.88秒」とし、守らなければならない基準値2.2秒についても、「11秒までに挿入すれば大事故は防げる」との暴論を展開していました。
これに対して裁判官は、「『1.88秒』はどこからきているのか?」「基準値(2.2秒)を超えてもいいということか?超えて幅があるということか?」と、関電の主張の問題点を質問しました。
また、原告が福島原発事故によって原発の安全基準(安全設計指針類)は崩れていると主張していることに関して、裁判官は関電に対して「安全基準はあるのか、ないのか?」「4閣僚の判断基準はどう位置づけるのか?」とも問いました。
関電は、これらに対しても書面で主張すると述べるだけでした。
◆再稼働は強行しながら、裁判の引き延ばしだけに力を注ぐ関電
次回が結審となります。次回期日について、関電側は、「8月13日は差し支える」として、8月末を主張。これに対して裁判官が「8月6日に期日を入れましょう」と言うと、関電側は困った様子で、前言を翻して「8月13日で」と。結局。次回は8月13日となり、関電の書面は8月10日(金)までに提出することになりました。
とにかく引き延ばしだけに終始する関電ですが、いよいよ結審を迎えることになります。
F-6断層の掘削調査を求める緊急署名や国会議員署名を広め、法廷内外の活動を結びつけて、運転停止を勝ち取りましょう。
(引用ここまで)
なお、こちらが大飯原発3・4号運転差し止め仮処分裁判原告のサイトになりますので、参考にしてみて下さい。
大飯原発3・4号運転差し止め仮処分裁判
(関西電力大飯原子力発電所3号機、4号機運転差止仮処分命令申立事件)
http://www.jca.apc.org/mihama/ooisaiban/ooisaiban_room.htm
<志賀原発の断層について>
そして、大飯原発だけでなく志賀原発でも、断層の安全さに首をかしげざるをえないのに、やっぱり国と電力会社は安全だと判定していた無責任さをメモ
「安全」説明に異論噴出 志賀原発で専門家ら
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ishikawa/news/20120717-OYT8T01752.htm
北陸電力志賀原発(志賀町)直下の亀裂が活断層である可能性が高まった問題で、17日に経済産業省原子力安全・保安院が開いた専門家の意見聴取会では、北電の「原発の安全性を脅かすものではない」との説明に対し、専門家から「いいように解釈しすぎ」などと異論が相次いだ。
北電は、志賀原発の敷地地下に8本の亀裂(シーム)があり、1、2号機建屋の直下に2本の亀裂があるとしている。聴取会では、このうち1号機南西角の亀裂について、地層のずれは「波の浸食作用により形成された」と説明した。ところが、専門家からは異論が噴出。東北大大学院理学研究科の今泉俊文教授は「典型的な活断層だ。よく(建設許可の)審査が通ったと思う。北電の説明は全く理解できない」と憤った。北電の「専門家の判断だ」との説明にも、今泉教授は「そんな判断の仕方は初めて。いろんな人の目を通すべきだ」と一蹴した。
産業技術総合研究所活断層・地震研究センターの杉山雄一主幹研究員は「個人的には地震を起こすものではないように思える」としつつも、「ずれる可能性があり、それが建屋の下にあるなら、きちんと評価すべき」と現地調査を求めた。
京都大防災研究所の遠田晋次准教授は「北電は自分にいいように解釈しすぎで、腑(ふ)に落ちない」と切って捨て、亀裂が形成された年代などの再評価を求めた。
今回は時間切れで2号機下の亀裂の説明ができなかったため、北電は次回に改めて説明する意向を示し、「説得力のある資料などを探し、丁寧な説明をしていきたい」として、現地での説明会も検討するという。
◇北陸電「薄い層、活動性ない」
北陸電力地域広報部「1号機の下の岩盤にシームと呼ばれる薄い層があることは確認しているが、これまでの採掘や堆積物の調査で活動性はないと認識しており、国も問題はないと判断している。17日の意見聴取会で出た内容については、しっかりと適切に対応する」
◇志賀町長「不安大きく」
志賀原発の原子炉建屋直下に活断層がある可能性が明らかになった17日、県内でも驚きと疑問の声があがった。
志賀町の小泉勝町長は、町内の浜開きの式典後、報道陣に対し、「専門家による意見聴取会の結果を見守る」とした上で、「町民の不安は間違いなく以前より大きくなった」と戸惑いの表情を見せた。
設置許可申請が出された当時の国による審査については「安全面で駄目だったものを認可してしまったのか、駄目じゃなかったのかは分からないが、疑問は残る」と述べた。
谷本知事は、「科学的に分析、検証し、内容を明らかにして国民に伝えることが大事だ」と徹底した調査の実施を国に求めた。「安全性の確保は国の責任のもとにある。北電もしっかり資料を提供し、冷静に議論すべきだ」と付言した。
共産党の佐藤正幸県議らは、橘幹広・県原子力安全対策室長に、県が独自に調査することを申し入れた。
申し入れ書では、渡辺満久・東洋大教授(変動地形学)らの調査で活断層の可能性があることが分かった「富来川南岸断層」についても、北電が活断層ではないとしていたことに触れ、「北電の安全軽視の体質は根深いと言わざるを得ない」とした。橘室長は「一義的には保安院が調査しており、注視していきたい」と述べた。
志賀原発の運転差し止めを求める訴訟で原告団長を務める北野進・珠洲市議は、問題になった亀裂について「すでに1988年に提訴した1号機訴訟でも指摘しており、以前から注目してきた断層だ」と指摘する。「国も結論ありきで審査していたのではないか。原発の直下に活断層があるということになれば立地不適格となり、設置許可は取り消して廃炉にするべきだ」と話した。
金沢大の平松良浩准教授(地震学)「少しでも可能性があるならしっかり再調査しないといけない。そもそも電力会社が調査するというのが、おかしいのではないか。その点から見直すべきだろう」
(2012年7月18日 読売新聞)
大飯原発もそうですが、どうして国も電力会社もこの危険な断層に目をつぶろうとするのでしょうか。
目をつぶらなければこの地震大国日本では電力会社が原発で金儲けすることは不可能だからだと正直に言ったらどうですか。
ちなみに、志賀原発運転差し止め訴訟は今年6/26に金沢地裁に起こされています(2回目ということになるのでしょうか?)
志賀原発は06年に差し止め訴訟がおこされ、金沢地裁で原告勝訴、差し止め命令が出たのですが、10年の上告審で原告敗訴が確定しています。
もしも06年の金沢地裁の判決が生かされていれば、福島原発事故はおきなかったかもしれません。
この反省も踏まえ、司法は現在起こされている各原発差し止め訴訟で賢明な判断を下す義務があると思います。
<危険な断層の上に立ってるのは大飯原発や志賀原発だけではない>
日本で地震の起きない場所はありません。日本の原発はいわばロシアンルーレットです。
ゲンダイネットのこちらの報道もお持ち帰りしておきます。
専門家が指摘 危ない原発ランキング
http://gendai.net/articles/view/syakai/137270
2012年6月26日 掲載
活断層の上に大量の使用済み燃料棒
関西電力の大飯原発(福井)の再稼働が決定し、放っておけば野田政権は次々と「暫定的な安全基準」で原発を再稼働するとみられている。専門家に言わせればとんでもない話だ。
「福島原発の事故は、津波が来る前に配管がダメになったとみられています。しかも、直下に活断層があったわけでもない。ということは、震度6程度の地震でも原発は危ないのです。大飯原発に関しては、異常を警告するアラームが鳴るなどのトラブルが続いているのも心配です」(放射能に関わる無機・放射化学を専門とする元立教大学理学部教授の佐々木研一氏)
「使用済み核燃料貯蔵量」も心配だ。全国で貯蔵していない原発はないが、記事末尾のように、大量に保有しているところがある。燃料棒と使用済み燃料はともに原子炉建屋の最も高い位置にある使用済み燃料プールの中で冷却されている。建屋が壊れ、保管されている燃料棒が露出すればアウトだ。危ない断層の上にある原発はゾロゾロだからゾッとする。
泊原発(北海道)、東通原発(青森)、六ケ所再処理工場(同)、柏崎刈羽原発(新潟)、敦賀原発(福井)、志賀原発(石川)の現地調査を行った東洋大の渡辺満久教授(変動地形学)に聞いた。
「活断層が動いた場合、被害が大きくなる原発は、敦賀、もんじゅ、美浜、大飯、東通です。活断層本体の上に立っているわけではありませんが、分岐した断層が動くことで建屋が壊れ、被害が出るとみられています。これらよりも破格に危ないのは、浜岡と六ケ所再処理工場です。2つとも、活断層の本体が直下にある。地震の揺れだけでなく地面のズレも生じ大きな被害をもたらすと考えられます。使用済み核燃料の量を見ても、六ケ所再処理工場はケタ外れに危険です。調査の結果、原発稼働すべきでないのは、敦賀、浜岡、東通六ケ所再処理工場。あとの3カ所も、きちんと現地調査してほしいと政府には訴えています」
六ケ所村の再処理工場直下に存在する活断層は下北半島東部沖にある「大陸棚外縁断層」につながっていて、M8級の地震を引き起こす可能性がある。また、原発としては使用済み燃料量でトップの柏崎刈羽原発には、M7.5の地震が想定される活断層が指摘されている。ここに原発があること自体が狂気である。
◇電力会社/発電所/場所/貯蔵量
◆北海道電力/泊/北海道古宇郡泊村/380
◆東北電力/東通/青森県下北郡東通村/100
女川/宮城県牡鹿郡女川町、石巻市/420
◆東京電力/福島第1/福島県双葉郡大熊町/1960
福島第2/福島県双葉郡楢葉町/1120
柏崎刈羽/新潟県柏崎市、刈羽郡刈羽村/2300
◆中部電力/浜岡/静岡県御前崎市/1140
◆北陸電力/志賀/石川県羽咋郡志賀町/150
◆関西電力/美浜/福井県三方郡美浜町/390
高浜/福井県大飯郡高浜町/1180
大飯/福井県大飯郡おおい町/1400
◆中国電力/島根/島根県松江市/390
◆四国電力/伊方/愛媛県西宇和郡伊方町/590
◆九州電力/玄海/佐賀県東松浦郡玄海町/830
川内/鹿児島県薩摩川内市/870
◆日本原電/敦賀/福井県敦賀市/580
東海/茨城県那珂郡東海村/370
◆日本原燃/※六ケ所/青森県上北郡六ケ所村/2860
電事連調べ(2011年9月末)など(単位:トン)※六ケ所は再処理工場
(引用終了・太字は私)
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