人間国宝、文楽の竹本住大夫さんが入院されたようです。
人間国宝、文楽の竹本住大夫さん入院…脳梗塞か
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20120712-OYT1T01147.htm?from=tw
人形浄瑠璃文楽の太夫で人間国宝の竹本住大夫さん(87)が12日朝、体調不良を訴え、大阪市内の病院に入院した。
脳梗塞の疑いがあり、2、3週間の入院が必要と診断された。
文楽協会などによると、住大夫さんは洗顔中に体のしびれを訴え、救急車で搬送された。21日に大阪・国立文楽劇場で開幕する「夏休み文楽特別公演」は休演。9月の東京・国立劇場公演への出演は未定という。
(2012年7月12日19時22分 読売新聞)
病因が何かを断言することはできませんが、やはり橋下市長の文楽イジメせいで心労がたまったのかと誰もが推測するところかと思います。
これに関して橋下市長のコメントがこちら。
人間国宝・住大夫さん入院 橋下市長「負担かけた」
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/news/20120714-OYT8T00092.htm
人形浄瑠璃文楽の太夫で、人間国宝の竹本住大夫さん(87)が脳梗塞の疑いで入院したことについて、橋下大阪市長は13日、「心からお見舞い申し上げます。(市が補助金凍結方針を示した)文楽協会の一件で、心身ともに多大なご負担をかけたことも要因になったのではないかと案じております」とのコメントを発表した。
橋下市長はこの日、公務がなく、市役所に登庁せず、文書でコメントを出した。「一日も早いご回復をお祈り申し上げます。住大夫さんが舞台に復帰される日を待ち望んでおります」などとしている。
住大夫さんは、市の文楽協会への補助金凍結方針を巡り、協会内で技芸員(演者)らと協議を重ねるなど対応に追われていた。12日朝、体のしびれを訴え、救急車で搬送された。
(2012年7月14日 読売新聞)
正直なところ「今更何をしおらしいことを」です。
そう言えば、橋下氏が一方的に廃館を決めた人権博物館の館長が急逝されたことをふと思い出しました。
http://mainichi.jp/select/news/20120620k0000m060041000c.htmlあらためて、イジメの親分バカ殿に大津のイジメ自殺を涙で語る資格などないことを繰り返しておきましょう。
さて、橋下氏は人間国宝の竹本さんが倒れる直前にこんなことを言っています。今日はこの橋下発言に対するツッコミです。
(11日)「文楽だけが無条件に金を使えると言うのか」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120711/lcl12071121170003-n1.htm?utm_source=twitterfeed&utm_medium=API
2012.7.11 21:16
午前11時50分 登庁。補助金の支給をめぐり非公開の面会を求める文楽協会に対し、「僕にやり込められるのが嫌とか何を言っているのか。私学助成のときは高校生ですら公開の場で涙を流しながら存続を訴えてきた。どんな理由で文楽だけが問題点を追及されずに無条件に金を使えると言うのか」と話す。
(引用ここまで)
この発言に関して二つのことを述べさせていただきましょう。
1.一つはあの私学助成を続けるよう嘆願に来た女子高生の涙を自分の都合のよいように利用していることです。
jeanvaljeanさんとmimosaさんのコメントからです。
高校生が涙を流したのは、あなたの不誠実な態度に対してです。あなたは高校生と議論したでしょう。それにたいしてあなたは何を言いましたか?「私学はあなたが選んだ」「日本は自己責任が原則」と冷たく突き放しましたよね?それに対する涙だったのです。しかしあなたの頭の中には、涙を流して私学助成を、涙を流して懇願したと映ったんですね。
大阪市民があなたを市長に選んだが、あなたの裁量だけで、あなたの感情だけで、市民の税金の使途を判断するところまで任せたのではありません。
あなたは弁護士です。人権を守る立場の人です。弁護士になるために、何を学んで来たのですか?俺に降れ伏す奴しか助けないと学んできたのですか?
(jeanvaljeanさん)
(引用開始)
彼が事実を無理矢理意図的に歪曲して,彼女の涙を利用しているというより,
人を屈服させるのが好きな彼には,「泣いて自分に懇願した」というイメージと印象だけが強く残り,
今やそれが彼にとっての真実になってしまっているのかもしれませんね…(なさけなーい!)。
で,彼は結局,やはり人間国宝さんに,自分に頭を下げて懇願してもらいたいのでしょう。
支配欲が強い,なんて貧しい人間性なんだろう。
(引用ここまで・mimosaさんのコメント)
女子高生の必死の叫びさえ橋下市長は自分に都合のよいように脳内変換してしまうんですね。これではあの女子高生達もやりきれないと思います。
2.もう一つは「文楽だけが無条件に金を使えると言うのか」と、橋下市長の一存で文楽という伝統芸能・文化を潰す事についてです。
橋下氏の文楽破壊は、タリバンがバーミヤン遺跡の仏像を破壊したことを思い出させます。
破壊理由が橋下氏個人の好みというところがある意味タリバンより酷いかもしれません。
・・と思っていたら徳岡弁護士もブログ「Everyone says I love you !」で同じ事を書かれていました。
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世界無形文化遺産の文楽を滅ぼそうとする橋下大阪市長は浪速のタリバンなのかhttp://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/c24f34d3cab5d32098b278564235857aこちらのエントリ-も併せてお読みください。
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世界無形遺産の文楽を滅ぼそうとする橋下大阪市長を、浪速の姫が成敗!http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/bbcc5cfb811a0af14d8cdeba44cce028徳岡弁護士のこの二つのエントリ-では、「浪速姫」が、橋下市長は歴史ある伝統芸能、文化に対してさえも「儲かるか儲からないか。儲からないならそんなものは潰してしまえ!」と言う実にわかりやすい貧困なる尺度しか持ち合わせていないことを明かしてくれています。
また、日経ビジネスONLINEでは、小田島隆さんが説得力ある執筆をしています。一部を引用させていただきましょう。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20120712/234415/?top_updt&rt=nocnt
(引用開始)
橋下市長は、補助金をカットする決意をすでに固めているように見える。
報道によれば、文楽協会とその技芸員が、市長への非公開の面会を求める方針を固めたことについて、橋下市長は、以下のように反応している。
《これを受け、橋下市長は「公開か非公開かは市民を代表する僕が決める。文楽の特権意識の表れだ。私学助成費のカットのときは高校生だって堂々と公開の場で意見を言っていた。非公開なら補助金は出せない」と述べ、技芸員が公開での面会に応じなければ、補助金を全額カットすることを強調した。》7月10日 産経新聞(リンクはこちら)
記事を見る限り、技芸員は、公開の場で自分たちの主張を市長に向けて訴えることを求められている。つまり、公衆の面前で、ディベートの達人である橋下市長を論破できないと、補助金の存続は難しいわけだ。
きびしいハードルだと思う。
自分自身の話をすれば、私は、言葉を扱う仕事をしている人間だ。その意味からすれば、技芸員の皆さんよりは多少口が達者なはずだ。が、カメラの前で、橋下市長を論破し去る自信があるかと問われれば、そんな自信は、ひとっかけらも無い。
相手は、長らく「論破」ということを職業にしてきた人間だ。のみならず、テレビカメラの前に立つことを半ば習慣化した日常を送っている。とすれば、「公開の場で」という条件は、一見、オープンかつ公正であるように見えるが、実際には、まったく非対称な要求なのである。
「ほら、檻の扉を開けてやるから、ライオンと交渉して肉を分けてもらえよ」
と言われたとして、一介の飼い猫に何ができるというのだろう。
協会は、「話を聞いてくれ」と言っている。市長は「リングに上がれ」と答えている。これは、対話ではない。デキの悪い脚本だ。世話物でも心中物でもない。こういう一方が一方をなぶるだけの筋立ては、とてもではないが、他人様(ひとさま)にお見せする芝居には仕上がらない
(引用ここまで)
これまでテレビ放映された朝生公開討論のように、文楽側が自分に論破される様を公開で晒すショーにしようという橋下市長の底意地の悪い魂胆が見え見えです。文楽側の言い分を真摯に聞くつもりなら、こんなショーを設定する必要は無いではありませんか。
また、小田島さんはこの後に続く文章で、
・世界には様々な文化・芸術が存在し、自分が知らないもの、関わりのない文化・芸術はたくさんある。実は自分も文楽については無知だし関わりもない。しかしだからといって文楽を消して良いとは思わない。なぜなら。その伝統が何百年も残ってきた理由はちゃんとあり、自分はそれを知らないだけだからだ。それでその伝統芸能が消されてしまったら、もう二度と戻ることはない。
だから、文化や芸術に関わるとき、「自分が理解できないもの」に対して寛大であることが肝要なのだ。
・ましてや、権力者が自分個人の好みでそれをやってはいけない。かつてパパブッシュは「自分はブロッコリーが嫌い」と発言して、全米ブロッコリ農家に盛大な抗議を受けた。「大統領には個人的な好き嫌いを吐露する権利なんか無いはずだ」というのである。
このブロッコリーの一件は、権力者の発言は影響力を持つから、尚更、自分個人の好みを押しつけることに繋がりかねない発言は細心の注意を払って避けるべき、という教訓なのだ。
・そして、文楽のような歴史ある伝統芸能というものは、商業主義、市場主義の枠から外れたものである。商業主義、市場主義の価値で計ることのできない価値を持った伝統芸能、芸術、というものがこの世には存在する(バカ殿にはそれが理解できない)。それを行政が無条件で金を使って保護しないでどうするのか。
という趣旨のことを述べており、その趣旨に私も賛同します。
世論調査によれば、こういう人物が大阪という一地方にとどまることなく全国へ進出することを望む国民が、半数近くいるのです。
どうかマスコミが作り出す「斬新な政治家」という何となくのイメージだけで期待するのではなく、彼が実際に何をやってきたのか、そして何をやろうとしているのか、きちんと事実を知った上で判断してもらいたいと強く願う次第です。
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