首相、自民へリップサービス?自衛権行使で
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120712-OYT1T01310.htm
野田首相は12日の衆院予算委員会で、「集団的自衛権の一部を必要最小限度の自衛権に含むというのは、一つの考え方だ」と述べた。
政府の憲法解釈で禁じられている集団的自衛権の行使を限定的に認める考えに一定の理解を示したものだ。自民党の茂木敏充氏が、同党がまとめた国家安全保障基本法案に対する認識をただしたのに答えた。
同法案は「自衛権の行使は、必要最小限度とする」との政府見解を踏襲しつつ、その範囲には集団的自衛権の一部も含むとしている。「必要最小限度」は幅のある概念で、状況次第では容認される集団的自衛権の行使もあるという理屈だ。
自民党が同法案で想定しているのは、〈1〉公海上での米艦の防護〈2〉米国に向かう可能性のある弾道ミサイルの迎撃――などの事例だ。この2類型については、自民党政権時代の2008年、政府の有識者会議が集団的自衛権行使の容認を求める報告書をまとめている。
これに対し、内閣法制局は「集団的自衛権が『必要最小限度』を超えるというのは、我が国に対する武力攻撃の発生という自衛権発動の要件を満たしていないという趣旨だ」としており、自民党案は憲法解釈の変更になるとの立場だ。
首相の12日の発言について、政府内では「自民党へのリップサービスだ」(高官)との見方が出ている。
野田首相がこんなことを言い出しても今更驚きはしません。
が、こんな理屈を言い出したら、何とでも言えるでしょう。
「先制攻撃は必要最小限度の自衛権に含まれる」
「核武装は必要最小限度の自衛権に含まれる」
武器やミサイルの性能が日進月歩の現代においては「自衛」のためならどんなことでも「必要最小限」と判断される可能性があります。かくして口実さえ儲ければあらゆる武力行使は可能となり、9条は完全に死文化します。
アメリカと共に武力行使するため、集団的自衛権は憲法で容認されているという憲法解釈に変更することは、歴代政権の悲願だと言っていいと思います。
しかしどんなに強く願っても現憲法下では100%不可能なのです。過去にこれに関していくつか書いています。
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http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-50.html・
http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-381.html・
http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-549.html従って、どうしても集団的自衛権が欲しいというのなら、最低でも9条を変えてからでないとダメなのです(但し改正が可能かどうかは別)
それが市民革命以後の近代民主主義国家の最低限の基礎ルール「法治主義」「法の支配」というものです。
しかし日本は近代民主主義の最低限の基礎ルールさえ理解できないようですね。
法治主義を蹂躙する橋下氏、石原氏らのようなモンスター政治家を平気で放置してるから、非常に鈍感になるのではないでしょうか(これぞ放置主義・・・)
橋下氏は、労組への思想調査、入れ墨調査の強要や、政治活動規制条例案など、明白な違憲行為を次々繰り出してきて恥じるところはありません。
また、石原氏は「憲法は改正でなく破棄すべき」という正気を疑うような信念を持っています。平和時の憲法破棄などあり得ないし、この発言は、公務員の憲法尊重義務(憲法99条)違反です。
民主主義国家においては政治家の憲法違反など見逃してはならないことです。厳しく非難され、是正されねばならないし、それができないなら退陣してもらうしかないのです。
ところが日本ではこのようなモンスター政治家は好き放題に憲法違反の発言や政策を放出し、権力の番人であるはずのマスコミもせいぜい「波紋を呼びそうだ」と一言書くだけであとはスルー、国民の大半も自分の生活に直接関わってこなければ、関心を示しません。法治主義が破壊されることがどんなにとんでない事態を招くか、その危機感の無さには歯がゆくてたまりません。
集団的自衛権を認めない、というのは、憲法の平和主義を維持する、というだけでなく、近代以降の民主主義国家のイロハである法治主義、立憲主義国家にを守らせる、ということだと思います。これ、とても情けないことなんです。
だって、民主主義国家に生まれ変わってから齢68歳を経た大人がまだ九九をわかっていない、まだひらがなも読めない、というのに等しいのですから。(そのような
東大出身の政治家もおられますね)
法治主義、法の支配、立憲主義
そう言った民主主義国家の最低限のルールを破ることを許したら、あとは坂を転がり落ちる車のごとく。
これを破られたら、もう、憲法なんて存在しないに等しいのです。
きっと、種々の基本的人権を平気で弾圧するような立法を行う国家への突破口になってしまうだろう、と激しく懸念しています。
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