原発事故収集現場での許されざる所業をメモ
- 2012/07/22
- 11:00
原発の収集作業を請け負った作業員達の線量計を鉛のカバーで覆わせたという信じられない隠蔽工作です。
◆47news
>【線量計に鉛カバー強要 被ばく線量偽装図る】原発事故で下請け会社役員 厚労省、立ち入り検査
http://www.47news.jp/47topics/e/232348.php
東京電力福島第1原発事故の収束作業をめぐり、作業を請け負った福島県内の建設会社の役員が昨年12月、作業員が個別に装着する警報付き線量計(APD)を鉛板のカバーで覆うよう強要していたことが21日、関係者への取材で分かった。これまでにカバーの使用を認めた作業員はいない。
累積被ばく線量が高くなった役員が、遮蔽(しゃへい)効果が高いとされる鉛でAPDを覆い、被ばく線量を偽装しようとしたとみられる。厚生労働省は労働安全衛生法違反の疑いもあるとみて調査を開始、福島労働局などが同日、第1原発内の関係先を立ち入り検査した。
関係者によると、装着を強要していたのは、東電グループの東京エネシス(東京)の下請け企業「ビルドアップ」(福島県)の50代の役員。昨年12月1日、作業員宿舎で約10人の作業員に鉛板で作ったカバーを示し、翌日の作業で装着するAPDをカバーで覆うよう求めた。
役員だけが装着した場合、1人だけ極端に被ばく線量が低くなって偽装が発覚するのを恐れたとみられる。
ビルドアップが請け負っていたのは、汚染水を処理する設備の配管が凍結しないようホースに保温材を取り付ける作業。作業現場付近の空間線量は毎時0・3~1・2ミリシーベルトだった。工期は昨年11月下旬から今年3月。
東京エネシス広報室によると、ビルドアップからは「(役員は)カバーを作ったが、作業員は使っていない」と連絡があったという。東京エネシスは「事実だとすれば非常に問題だ」としており、役員が単独で作成したかなどを調べている。
第1原発では、作業員が作業開始時に東電側からAPDを渡され、作業が終わったら返却する。東電はAPDを基に、作業員ごとの1日の作業時間、被ばく線量を管理している。
▽APD・警報付き線量計 防護服の内側、左胸付近に装着しガンマ線とベータ線を計測する。東京電力福島第1原発で使用されているAPDは国産で、縦9・7センチ、横5・8センチ、厚さ1・6センチ。作業現場で予想される線量によってあらかじめ線量上限を設定しておけば、被ばく線量に応じて警告音が出る。上限を超えると警告音が止まらなくなる仕組み。東電が作業員に貸し出し、1日ごとの被ばく線量、作業時間を管理している。
▽原発作業員の被ばく線量 原発で働く作業員の被ばく線量限度は、通常作業時が「5年間で100ミリシーベルトかつ年間で50ミリシーベルト」。事故などの緊急時は「年間100ミリシーベルト」としている。東京電力福島第1原発事故では、作業時間を確保するため特例として100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げたが、収束作業の進展に伴い、昨年12月から原則として通常時の基準に引き下げられた。一般人の年間被ばく線量限度は1ミリシーベルト。
(共同通信)
◆朝日新聞
作業員に鉛カバー作らせる 被曝隠しの下請け 福島第一
http://www.asahi.com/national/update/0721/TKY201207210176.html
東京電力福島第一原発の復旧工事に参加した下請け会社ビルドアップ(福島県)の役員(54)が昨年12月、作業員が身につける放射線の線量計を覆うために用意した鉛のカバーは、事前に作業員自身に作らせたものだった。製作に加わった作業員たちの証言でわかった。
「APD」と呼ばれる線量計は縦97ミリ、横58ミリ、厚さ16ミリ。防護服の下のシャツの胸ポケットに入れ、ガンマ線やベータ線を前面のセンサーで感知し、全身にどれだけの放射線を浴びたかを測る。毎日、東電が作業員に貸し出す。
作業員らによると、昨年11月30日、ビルド社の作業チーム約10人の半数ほどが原発構内の作業場に集められた。役員は厚さ数ミリ、縦横1メートルほどの鉛板を用意していた。通常は汚染水の配管を覆って放射線を遮るために使う鉛板とみられる。
役員はAPDの実物を使ってサイズを測り、鉛板に油性ペンで線を引かせて金属用のはさみで切断させた。作業員たちは万力やハンマーでAPDの前面、両側面、底を覆うカバーの形に整えた。「手で折り曲げた」と話す作業員もいる。
(引用ここまで)
◆日本経済新聞
原発作業9人の鉛カバー使用認める 建設会社役員
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2100P_R20C12A7000000/
東京電力福島第1原発事故の収束作業を請け負った福島県の建設会社「ビルドアップ」(和田孝社長)が、
作業員の線量計を鉛のカバーで覆っていたとされる問題で、
同社は21日、役員の指示で作業員9人がカバーで覆った警報付き線量計(APD)を使ったと認めた。
ビルド社は、指示した役員から和田社長が電話で聞き取った内容を明らかにした。
聞き取りによると、カバーで覆って使用したのは1度で、その後は使わなかったという。
作業は資材運搬などで、3時間程度だった。
役員は「事前に現場に行った際、APDの音に驚き、鉛防御のイメージが頭の中に浮かんだ」と話し、
和田社長が認識について尋ねると「申し訳ありません。その時は測定器の遮蔽しか考えつかなかった」と答えたとしている。
関係者によると、指示したのは50代の役員。昨年12月1日、作業員宿舎で作業員に鉛板で作ったカバーを示し、
翌日の作業で装着するAPDをカバーで覆わせた。
累積被曝(ひばく)線量が高くなった役員が、遮蔽効果が高いとされる鉛でAPDを覆って線量を偽装しようとし、
自分だけ装着した場合、1人だけ極端に線量が低くなって偽装が発覚するのを恐れたとみられる。
ビルド社が請け負っていたのは、汚染水を処理する設備の配管が凍結しないようホースに保温材を取り付ける作業。
作業現場付近の空間線量は毎時0.3~1.2ミリシーベルトだった。工期は昨年11月下旬から今年3月。
ビルド社は東電グループの東京エネシス(東京)の下請け企業。
厚生労働省は労働安全衛生法違反の疑いもあるとみて調査を進めており、21日に福島労働局などが第1原発内の関係先を立ち入り検査。
東京エネシスの作業員の名簿などの書類を確認した。〔共同〕
◆毎日新聞
下請け被ばく隠し:東電、線量管理は業者任せ…発覚遅れる
毎日新聞 2012年07月22日 02時30分(最終更新 07月22日 09時03分)
http://mainichi.jp/select/news/20120722k0000m040098000c.html
東京電力が発注した福島第1原発事故の収束作業の下請けに入った福島県の建設会社「ビルドアップ」役員が警報付きポケット線量計(APD)に鉛カバーをして被ばく隠しをするよう作業員に指示した問題で、作業員はAPDのほかに蓄積線量を調べる特殊バッジも着けていた。二つの測定値の照合チェックは東電でなく受注業者がしているため発覚しなかったとみられる。
ビ社によると、指示した役員は「現場で線量計の音に驚き、被ばく低減措置をしようと思った。現場で1度使用し人数は9人」などと話しているという。
東電によると、労働安全衛生法に基づく規則は、いずれか一方の測定値を業者から発注者側に報告するよう求めており、収束作業の数値提出は3カ月ごとだったという。このため、業者任せの測定値照合について東電は「法令上問題はない」という。隠し工作をしたとされる昨年12月の作業も「照合結果が報告されていたはず」とし、21日、ビ社の元請けに調査を指示した。
絶句です。
「現場で線量計の音に驚き、被ばく低減措置をしようと思った」って、何考えてるんですか。
放射線がそれほど出てたなら、線量計を鉛カバーで覆って作業させるんじゃなくて、撤退でしょうに!
先日の名古屋の意見聴取会では中電社員が胸を張って「放射能の直接的な影響で亡くなった人は一人もいない」と断言していましたが、ほんとはいるんじゃないの?といいたくなります。
福島原発事故収集作業の最先端の現場にいかされるのはプロではありません。
臨時に雇われた人々です。
もちろんこの人達は放射線の危険性について専門的な知識があるわけではありません。
こうして、末端の被曝労働者が安い金で東電の尻ぬぐいをさせられ、健康を犠牲にされていくのです。
(関連記事 電力会社の人の命を使い捨てにする体質をメモ・2 )
もちろん東電は、下請けが勝手にやったことと知らん顔できる資格はありません。
もともと原発は、
『原発推進の国策を支持ないしは容認し、電力会社が下請け、孫請け、曾孫請け……へと危険をアウトソーシングする仕組みに見て見ぬ振りをしてきたマジョリティ、99%によってブラックな構造が温存され、危険な労働が「1%」に押しつけられる』http://goo.gl/Ny7uT
という構造になりたっているものなのですから、この毒された構造の頂点に立つ東電の意向を下請けが忖度しているといっていいでしょう。
- 関連記事
-
- 反原発デモを過小評価する日本のメディアを伝えるル・モンド紙 (2012/07/22)
- 原発事故収集現場での許されざる所業をメモ (2012/07/22)
- 公聴会での電力会社社員の暴言 (2012/07/19)