こちらからの続きです。
今まで消費税増税では、一応、社会保障の充実のためという大義名分(大嘘ですけど)を掲げていました。
しかし今回の「税と社会保障の一体改革」は消費税は倍に上げるけど社会保障はこんなに削るよということを臆面なく出してきました。消費税増税の大義名分さえも堂々とかなぐり捨ててきたから驚きです。
◆赤旗
消費税大増税・社会保障改悪法案
高橋議員の反対討論
衆院本会議
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-06-27/2012062704_03_1.html
日本共産党の高橋ちづ子議員が26日の衆院本会議で、消費税大増税と社会保障改悪の民自公3党「談合」法案に対して行った反対討論は次の通りです。
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私は日本共産党を代表し、消費税増税法案をはじめ8法案に反対の討論を行います。
野田内閣は「社会保障と税の一体改革」と称して、7本の法案を一括して特別委員会に付託しました。ところが、公の審議の一方で水面下での3党協議を行い、21日新たな2法案や修正案を提出したのです。中央・地方公聴会での意見や重ねてきた議論も全く無視して、「3党合意したから採決を」と迫り、わずか13時間余りの審議で採決を強行しました。3党が合意すれば何でもできるなら、国会の自殺行為であり、断じて認められません。
第一に、消費税増税法案はもともと公約違反の法案です。消費税を2014年4月に8%、2015年10月に10%という大増税とあわせ、国民にはこれまでにない20兆円もの負担増がおしつけられます。消費を冷え込ませ、日本経済に重大な影響をもたらすことは明らかです。
消費税が最悪の欠陥税制だということはハッキリしました。所得の低い人ほど負担の重い逆進性があること、中小企業など、税率を価格に転嫁できず身銭を切らざるを得ない実態があること。これらは政府自身が認めていながら、具体策は何も示されませんでした。
また、消費税が全額社会保障にあてるというのはみせかけで、他の経費に置き換わるだけだということが明らかになりました。
しかも、3党修正で、高額所得者へのわずかな負担増さえ削除され、結局、消費税増税だけが突出したのです。国民の7割に及ぶ反対の声を無視した暴挙を許すことはできません。
第二に、3党合意において、自民党、公明党は、最低保障年金制度の撤回を迫り、今後の公的年金制度、高齢者医療制度については「3党協議を経て」というしばりまでかけてしまうという異常な対応でした。一方、後期高齢者医療制度の廃止をかかげて政権交代を果たした民主党が、いまや「高齢化が社会保障費を増大させた」として公約を事実上断念するばかりか、増税やむなしの口実に高齢者をねらいうちにしていることは、最も重大な裏切りだといわなければなりません。
なお、今回の被用者年金一元化法案は、保険料を引き上げ、年金給付水準は一方的に引き下げるもので、反対です。年金受給の条件となる加入期間を25年から10年間に短縮したこと、男性にも遺族年金を支払うことなど、いくつかの改善点はあります。しかし、無年金低年金問題の根本的な解決のためには、最低保障年金を確立して年金額を底上げすることが必要です。特例水準の解消やマクロ経済スライドをやめ、減らさない年金にするべきです。もちろん、消費税を財源にすることはもってのほかであります。
第三に、政府案の子ども・子育て新システムは、保育に企業の参入を進め、国や自治体の責任を大きく後退させるものです。子どもの安全・安心が脅かされるおそれがあり、待機児童解消も期待できません。
3党合意による修正案は、政府案とほとんど変わりません。「総合こども園」とよんでいたものが「幼保連携認定こども園」におきかわったに等しいものです。待機児童対策は、株式会社の参入要件を若干厳しくし、多様な主体を「認可」することによって受け皿を増やそうとするもので、政府案と基本的に同じです。
市町村の保育実施義務を明記した児童福祉法24条を残したことは、保育関係者、保護者の切実な声を一定反映したものです。しかし、保育を介護保険のような直接契約にしてしまう新システム法案がほぼ原案どおり残ったため、事実上骨抜きにされました。
いまやるべきは、新システムは撤回し、国と行政の責任で認可保育所を増やし、公的保育制度を充実することです。
第四に見過ごせないのは、自民党の基本法案を原案としてつくられた社会保障制度改革推進法案です。
法案には、「社会保障」を単なる負担の見返りという保険制度に変え、自助を基本に、共助、公助で補完するという考え方がつらぬかれています。人間らしく生きる権利と、その実現のために国の責任を明記した憲法25条を真っ向から否定するものです。
医療、介護、年金をはじめとする社会保障制度の今後の在り方について、新設する社会保障制度改革国民会議の議論にゆだねました。これは、3党協議と有識者の会議の結論を国会に押し付けるものであり、国会の議論は全く形だけのものになりかねません。
重大なのは、生活保護の「厳格化」と給付水準の「適正化」の検討が付則に盛り込まれたことです。いまでも稼働能力や扶養義務については厳しい調査が求められ、命さえ絶たれる最悪の事態も続いています。これ以上の厳格化や引き下げは絶対にやめるべきです。
最後に、今被災地からは消費税増税に反対、不安の声がたくさんよせられています。「やりくりが大変です。これ以上消費税をとられたら生活できません、国民の苦しみがわかる人が政治をしてほしい。賢く選挙権を行使していかなければと思っています」
消費税増税、原発再稼働やTPPなど、民主党政権にも、3党の談合政治にも、白紙委任したおぼえはありません。総理がいまやるべきは、解散して国民に信を問うことです。
以上で反対討論を終わります。
特に、急遽セットで提出された
「社会保障制度改革推進法案」に対しては、日弁連が憲法25条に抵触する恐れがあるという意見書を出したことを
こちらのエントリ-でご紹介しました。
日弁連のこの意見書は、この「税と社会保障の一体改革」は、政策の政治的な是非を問うレベルを越え、憲法違反を問うレベルにまで達している、ということを訴えています。赤旗の指摘とほぼ同じですが、もう一度
日弁連の意見書から要点を抜粋しましょう
●「安定した財源の確保」「受益と負担の均衡」「持続可能な社会保障制度」(1条)の名の下に、国の責任を、「家族相互及び国民相互の助け合いの仕組み」を通じた個人の自立の支援に矮小化するものであり(2条1号)、国による生存権保障及び社会保障制度の理念そのものを否定するに等しく、日本国憲法25条1項及び2項に抵触するおそれがある
●推進法案(2条3号)は、「年金、医療及び介護においては、社会保険制度を基本とし、国及び地方公共団体の負担は、社会保険料負担に係る国民の負担の適正化に充てることを基本とする」として、年金・医療・介護の主たる財源を国民が負担する社会保険料に求め、国と地方の負担については補助的・限定的なものと位置付けており、大幅に公費負担の割合を低下させることが懸念される。
●推進法案(2条4号)は、社会保障給付に要する公費負担の費用は、消費税及び地方消費税の収入を充てるものとするとしているが、財源の確保は、憲法13条、14条、25条、29条などから導かれる応能負担原則の下、所得再分配や資産課税の強化等の担税力のあるところからなされなければならない。
●推進法案(4条)は、新設する社会保障制度改革国民会議の審議を経て社会保障制度改革を具体化する立法措置を講じるものとしているが、社会保障制度改革をめぐる国民的議論は、全国民の代表である国会において、全ての政党・会派が参加し、審議の全過程を国民に公開すべきであり、内閣総理大臣が任命する僅か20名の委員による審議に委ねることは民主主義の観点から不適切である。
●推進法案(附則2条)は、「生活保護制度の見直し」として、不正受給者への厳格な対処、給付水準の適正化など、必要な見直しを実施するとしている。しかし、生活保護受給者の増加は不正受給者の増加によるものではなく、無年金・低年金の高齢者の増加と非正規雇用への置き換えにより不安定就労や低賃金労働が増大したことが主たる要因である。むしろ、本来生活保護が必要な方の2割程度しか生活保護が行き届いていないことこそ問題である。給付水準の見直しについては、最も低い所得階層の消費支出との比較により、保護基準を引き下げることになりかねず、個人の尊厳の観点からも是認できない。
(※これに河本さんの母親の生保受給バッシングが利用されたのは言うまでもないです)
三党合意で衆院可決した一体改革法案は、もはや立法裁量の域を越えています。
憲法が予定している社会保障制度理念を根幹から破壊しています。
こんな違憲なトンデモ政策を今月22日にポッと出してきて、当然十分な審議を尽くさぬまま採決って、・・・
大事なことですから何度でも言います。
これが「決められない政治からの脱却」「決められる政治」ということです。
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