民主党の代表選、私は政策論争を尽くして欲しいと書きましたが、ちょっと訂正。
考えてみたら議論が深まるわけはありませんでしたね、だって菅総理と小沢さんの政策って同じ方向むいてるんですから、ぱっとしない論戦になるのは当然です。
たとえば小沢さんは菅総理を
『来年度の予算編成は財源がないということで一律1割削減という方針が決められた。政治家が自らの責任で予算を決定できる態勢を作らなければならない」。各省一律に上限(シーリング)を設ける自民党政権時代と変わらない「官僚依存」の概算要求になり、政治主導になっていない』
と批判します。
一方、菅総理サイドは、
『小沢氏の掲げる「補助金の一括交付金化」による財源捻出(ねんしゅつ)について、玄葉光一郎公務員制度改革担当相(党政調会長)は「本当に可能なのか」と疑念を呈した。前原誠司国土交通相は「国の公共事業費を4割5割カットするのに等しい」と指摘し、都道府県への高速道路建設移管構想には「高速道路に新しいひも付き補助金を作るということで、まったく矛盾している」』
と批判しています。
なんかこれ、「目糞鼻糞を笑う」の類に聞こえるのは私だけでしょうか?結局どこを削るかで揉めてるだけです。
菅総理に対しては、政治主導か官僚主導かどうかではなく「無駄削減の大義の下、緊縮財政でタダでさえ貧弱な行政をさらに貧弱にするのは結局国民にしわ寄せが来るだけ」という批判がなされるべきではないでしょうか?
もちろんこの批判は小沢さんにもしっかりブーメランが突き刺さります。
小沢さんが「消費税を上げないことは勿論、累進課税率を上げ、法人税を増やし、高額所得者や大企業に増税する」とでも主張すれば、それこそ有意義な論戦になったのでしょうけど、それは逆立ちしてもありえません。要は同じ穴の狢ですね(^^;
で、前回書いた
ここで政策論争を戦わせば、民主党はどういう方針でどこへ行こうとしてるのか、国民にきちんと示すことができるでしょう。 (略) この私の予想が裏切られ、2週間後には白熱した深い政策論争が行われていることを望みます。 そうすれば、まだ代表戦によって今後の政治にいくばくか希望が持てるし、民主党完全終了のお知らせをしなくてすむのですが。
これをこう言い換えましょう。
ここで政策論争を戦わせば菅総理であろうと小沢さんであろうと、民主党の方針・政策は新自由主義路線、アメリカ追従、財界べったりの第二自民党であることがより明白になってきて、この政党は与党の座から一刻も早く降りるべきだということを、国民にきちんと示すことができるでしょう。 (略) 2週間後には代表戦によって自信ををもって民主党終了をお知らせを伝えることができるのですが
さて、私が最も小沢さんの考えが知りたかった普天間基地問題について、公開討論の詳報がでたのでメモしてツッコミいれさせていただきましょう。
小沢氏、普天間移設代替案「案があるとは言っていませんですよ、僕は」 【普天間移設問題】
--米軍普天間飛行場の移設問題の日米合意を踏まえて米国、沖縄と話をするのか。日米合意の見直しはあり得るのか小沢氏 「鳩山前総理が非常にご苦労されて、そして、本当に、国外、少なくとも県外という気持ちでもってご苦労されたわけですが、なかなかそれがうまくいかなくて、あの日米合意となったわけです。ですから、その鳩山前首相のご努力と、それから日米間という国同士の約束ということは尊重しなけりゃいけないと思っております。うーん、ただ、沖縄の県民のみなさがどうしても反対だということになりますと、進まないわけですね。合意は合意であっても。これ、強制的にやるなんてことは不可能ですから。ですから、そうすると、やはり沖縄の県民みなさんとも話ししなきゃいけないし、県民のみなさんの意向を踏まえて、またアメリカ政府とも話しなきゃいけないし、そん中でお互いに両方が納得できる良い知恵が出るように、もう1度努力するということは、決して悪いことじゃないじゃないでしょうか」
いや、鳩山さんは非常にご苦労もされてないし、ご努力もしてませんけど小沢さん。
『やはり沖縄の県民みなさんとも話ししなきゃいけないし、県民のみなさんの意向を踏まえて、またアメリカ政府とも話しなきゃいけないし、そん中でお互いに両方が納得できる良い知恵が出るように』
って、鳩山さんもこれと同じ事言ってましたけど?
それにもう県民の結論はとっくに出てるのに、これ以上何を話し合うわけですか?
『そん中でお互いに両方が納得できる良い知恵が出るように』と言いますが、そんな良い妥協案があればとうに思いついてたはずでしょう?
県民の意思は辺野古はありえないと決まっている。県外は協力が得られないのは全国首長会議であきらか。県民の答えは無条件撤去(もしくは国外)しかありません。でも国外とか無条件撤退って絶対言いませんよね政府は。
だったらお互い納得できる選択肢なんてあるわけないじゃないですか。わかりきったことで時間を浪費して沖縄が折れるのを待つのはやめにしてくれませんか。
『もう一度努力する』というのなら日米共同声明を白紙に戻すようアメリカ説得する努力をするしかありません。アメリカを説得するしか、『お互い納得できる良い案』にはならないんじゃないですか?
--日米合意通り辺野古移設に移すよう沖縄を説得するというわけではないのか 小沢氏「いや、説得とか何とかっていうことじゃなくて、現に鳩山内閣で日米合意がなされたと。この合意は重く受け止め尊重しなきゃいけないと。その合意を前提として、じゃあ、どうしたらお互い納得できるのか、ということを話し合わないと、合意、合意と言っても、それが前進しなきゃ何の意味もないわけでして、だから、その意味で、アメリカ政府もそりゃよく分かっていると思います、沖縄の県民の感情っていうのは。だから、その意味で、県民みなさんとも、アメリカ政府のみなさんとも、何か知恵ないかな、ということで話し合う余地はあるのではないかと思っております」
何意味不明な言い訳してるんでしょう?合意を前提とすると「辺野古移設にに移すよう沖縄を説得する」以外ないんですけど?
『何か知恵ないかな、ということで話し合う余地はあるのではないかと』ありません(バッサリ。
選択肢が辺野古移転しかない以上、話し合う=沖縄に辺野古移転を認めさせることでしかないのですから。
--沖縄県民は県外移設じゃないと納得しないのではないか。昨日の小沢氏の「自分なりの案がある」という意味の発言は、県外と受け止められている 小沢氏「案があるとは言っていませんですよ。僕は。今、説明した通りです」 --「知恵」と言ったが 小沢氏「いや、何か、方々が納得する、知恵というのは、もう、みんなで考えりゃあ、3人集まれば文殊の知恵、ということがあるじゃないですか」 --具体的なものがなくて、話し合いをしようということだけだったのか 小沢氏「いや、だから、そうしなければ進展しないでしょ」 --それは分かるが、そういうことだったのか 小沢氏「そうです。今、具体的にこうするとか、ああするとか、という案を私、持っているわけではありません」
普天間に関して具体的な案も秘策もなく、「話し合い」をしようということだけだったと小沢さんは認めました 。な~んだ、大風呂敷の中身は空っぽだったということです。鳩山さん、小沢さん、菅さんは、普天間について結論はなんらかわりません。
ところで小沢さんは昨日こんな発言をしています
在沖米海兵隊は不要=小沢氏 時事通信 9月3日(金)11時38分配信 民主党の小沢一郎前幹事長は3日午前のテレビ朝日の番組で、沖縄県に駐留する米海兵隊について、「要らないと思う」との考えを示した。小沢氏は「米国の戦略も、前線に大兵力を置く必要がないという判断だ。だから欧州からも引き揚げている」と強調した。 小沢氏は2日に行われた日本記者クラブ主催の公開討論会でも、「できるだけ前線から兵力を引き揚げるということは米国としても当然だし、私も当然だと思う」と述べている。
ちょっと呆れました。よくこういう矛盾したことが言えるものだと思います。
海兵隊がいらないなら辺野古移転だって不要じゃありませんか。
それに、かつて小沢さんは「日本には米軍の第7艦隊がれば十分」といって物議をかもしたことがありましたが、これは代わりに日本の軍事力を強化する小沢さんの持論とセットになっていることですから、この海兵隊不要論を、小沢さんは対米従属から脱却しようとしているのだと単純に喜ぶわけには行かないと思います。
ついでに菅総理の普天間問題についての発言も載せておきましょう
--菅氏は日米合意に沿って沖縄の説得を進め、基地負担の軽減を図るということでいいのか 菅氏「はい、あの、冒頭発言でも申し上げたように、この経緯は約1年間、鳩山(前)総理が苦労に苦労を重ねられた結果、改めて辺野古を中心とした地域への普天間の移転ということで合意されたわけであります。そのことが沖縄の県民のみなさんにとって、決して、まだまだ了解されるにほど遠い状況にあることはよく分かっておりますけれども、ただ、このことを何も決めないで混迷をするということは、もう許されない状況だということで、鳩山さんも合意をされて、ある意味でその責任も含めて辞任をされたんだと思うんです。ですから、私としては、そこから、それを原点として、その中で日米間のいくつかプロセスが固まっておりますが、8月末には実務者会議で一定の案を実務者レベルでのある種の幅のある合意でありますが、合意されましたが、ただ、それができて、合意があったからといって、すぐに何か工事が始まるとか、そういうことではないということも合わせて申し上げました」 「こういう、ある意味、沖縄との間での信頼関係もかなり難しい状況になっていましたので、まずは仲井間(弘多沖縄県)知事と話ができる環境をつくり、それはまあ、何とかできましたけれども、そして、沖縄のこの辺野古以外のですね、負担をできれば先行して軽減できる道はないかと。北部の演習場の移転問題、あるいは辺野古と関係、普天間と今は関係しておりますが、嘉手納以南の基地の問題、また、グアムの問題も、これはいろんな報道が出ておりますけれども、当初の移転の計画、非常に大きな移転でありますので、沖縄にとってはそれが進展することは、沖縄在住の海兵隊の兵員や家族が非常に減ります。半分近くに減るわけですから。そういうものは予定通りですね、進行すると。そうすれば、沖縄の負担軽減は普天間のもの以外でもかなり進むのでですね、そういう中で信頼感を積み重ねていく中でですね、いろいろな理解を得られないだろうかと。こんなことで努力を進めているところです」
論外なのですが、少しツッコミを。
『この経緯は約1年間、鳩山(前)総理が苦労に苦労を重ねられた結果、改めて辺野古を中心とした地域への普天間の移転ということで合意されたわけであります』
いやだから、鳩山さんは苦労に苦労をかさねてませんてば。一回もアメリカに対して沖縄の代弁者となったことないくせに、何が「苦労」でしょう。
『ある意味、沖縄との間での信頼関係もかなり難しい状況になっていましたので』
そりゃあ、恥知らずな公約破りをし、共同声明発表後は名護市を兵糧攻めにしたり、札束で横面はたいて住民を分断したり、辺野古施設の飛航路を嘘付いたり、オズプレー配備を黙ってたりと、枚挙に身いとまがない重大な背信行為をすりゃ、沖縄との間での信頼関係なんかずたずたになるに決まってるじゃないですか
『仲井間(弘多沖縄県)知事と話ができる環境をつくり』ってことはナントカして仲井間知事を囲い込んで籠絡させようって事ですねわかります。
『沖縄在住の海兵隊の兵員や家族が非常に減ります。半分近くに減るわけですから。そういうものは予定通りですね、進行すると。そうすれば、沖縄の負担軽減は普天間のもの以外でもかなり進むのでですね、そういう中で信頼感を積み重ねていく中でですね、いろいろな理解を得られないだろうかと』
菅さんは、沖縄在住の海兵隊委員の人数が実際に減れば政府との信頼関係が簡単に戻ると思ってるようですが、あまりにも沖縄県民の苦しみを知らなさすぎ、そして自分たちが行った裏切り行為の酷さについて自覚なさ過ぎです。県民を馬鹿にした話ではないでしょうか。
小沢さんにも菅さんにも言えますが、政府の言う「話し合い」「理解」とは、古今東西強制的一方的な押しつけを意味する、と日本の現代用語の基礎知識に書かれています(笑)
この公開討論だけで、小沢氏も菅総理も同じ穴の狢、両方とも総理になるべき人物ではないとハッキリ断言できます。
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