Ａｆｔｅｒｎｏｏｎ　Ｃａｆｅ

携帯から急ぎで。
民主党政権の数々の裏切りやジミントー化は最初から予想されていた事でしたから、私はこれまで何度も批判を表明してきましたが驚きはしませんでした。
が、まさかかつて死刑廃止議員連盟とアムネスティに属していた千葉法相が（おそらく）残りわずかな任期で死刑執行に踏み切るとは・・・唖然としました。
激しい失望と激しい怒りを感じます。厳重に抗議します。

千葉法相には取調の可視化腰砕けをはじめ色々失望させられてきましたが、死刑執行しないことだけはかろうじて評価してきたのです。その最後の一つだけは裏切ることはあるまいと思ってきたのに・・

今回の落選で千葉法相は政界を引退するという話も伝わってきています。おそらく9月までのつなぎの任期でしかないでしょう。
あと2ヶ月くらいしかないのに・・何故信念を貫けなかったのでしょう。なんという与党ボケでしょう。
所詮その程度の信念だったのですね。
いったいどの面をかつて所属した死刑廃止議員連盟やアムネスティに向けるつもりでしょう。

法相はこの死刑執行を「国民的な議論の契機にしたい」と述べました。
ふざけるな！と言いたいです。
死刑が良いか悪いかの議論を啓発するために死刑囚二人の命を人身御供にしたというのですか。アムネスティに所属した人間の発想とは思われません。
千葉法相は今回立ち会った死刑囚が死に至るまで苦しむ様子を事細かに国民に公表するとでも言うのですか？
するわけありませんね、そんな残酷な話。なら、残念ながら千葉さんの執行と立会は死刑制度の是非の契機などになるはずもないです。
「死刑廃止論者の千葉さんもやっと死刑する気になったの。遅きに失したけど。ま、めでたいことなんじゃない？やっと法相の任務を理解できて。」
世間の反応はこんなもんで終わりでしょう。

もしベルトコンベア発言の鳩山弟が死刑執行に立ち会ったというのならそこになにがしか筋を通そうという姿勢だけは垣間見えたかもしれませんが、死刑廃止論者だった千葉氏が立ち会ったからと言ってそれが何だというのでしょう？
千葉氏の執行への立会は、単に自分自身の良心を慰め、自分を免罪しようとしている言い訳にしか思えません。

　千葉氏は、過去には議員として死刑反対の立場をとってきたにもかかわらず執行を命令したことについて報道陣から問われると、「（これまでと）考え方を異にしたわけではない。法務大臣として職責が定められていることを承知しながら、大臣職をさせていただいてきた」と強調した（産経新聞）そうです

千葉法相に問いたいです。
「死刑執行することは法相として果たさなければならない職責ですか」と。

死刑執行は判決から6ヶ月以内と定めた刑事訴訟法の規定は、法相に死刑執行の義務を負わせたものではないと解釈されています。
こんなことは釈迦に説法、弁護士だった千葉氏は百も承知のはずなのに、何故か千葉氏は「死刑執行は法相の職責」という考えに立脚していたようです。
だから法相の任についたときに死刑廃止議連からもアムネスティからも身をひいたのでしょう。

以前にも書きましたが、法相になるに当たってこれらを抜ける必要など無かったのです。私はそれに違和感と不満をずっと抱いていました。そして死刑に対して煮え切らない態度しか取らない千葉氏を非常に歯がゆく思ってきました。
「法相がハッキリと死刑反対を主張してはいけない」というのは間違いだと、私はあらためて言いたいです。
法を司る法相だからこそ、死刑廃止を訴えるべきなのです。
もし死刑執行が法相として果たすべき職責だというなら、日本から永遠に死刑は無くすことは不可能です。
フランスで死刑廃止に奔走したバダンデール氏は当時法相でした。
バダンデール氏のように、法相の任にある人間から死刑廃止の声を上げてくれることを期待していたのです。

「死刑執行書にサインして判決から半年以内に執行するのが法相としての任務だ」という誤った認識が、ベルトコンベア発言あたりから国民に浸透してしまいましたから、千葉法相は先頭に立って、まずこの誤った国民的認識を改めるよう啓蒙すべきでした。
ところが、法相は死刑廃止議連やアムネスティをぬけ、死刑について聞かれても慎重で曖昧模糊とした発言でお茶を濁し、ただ執行書に判をおさないという消極的行動だけで、死刑の是非についての議論を巻き起こそうとさえしてきませんでした。
それが今になって死刑執行し、それを死刑についての議の契機にしたい？
呆れ果てます。

日本では死刑に反対していた「人権派」と呼ばれる政治家でも、政権につけばジミントー的に豹変してしまうのだと、日本はそれほどまでに人権後進国なのだという現実に慄然として息が詰まる思いがします。

私は千葉氏には法相の座を退いて貰いたいと真剣に思います。

【追記】
千葉氏は、執行に踏み切った理由については「色々な要素があった」「これまでの検討の結果、執行に至った」と述べるにとどめたそうです（産経新聞）
死刑反対を覆した詳しい理由を聞きたいものですね。
今回の死刑執行は、死刑執行してこなかったことについての批判をかわして法相として居残るためのものだ、などと囁かれたりもしますが、もしもそんな大衆迎合的な理由で死刑執行したのだとしたら、とてつもない幻滅です。

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