民主党とラブラブな雰囲気にあった橋下氏が、民主党マニフェストの地方分権、道州制について手の平を返したように厳しい批評をしたとたん、ああ、なんと民主党はマニフェストを変更しました(ため息・・)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090728-00000521-san-sociより
民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)について大阪府の橋下徹知事は28日午前、自身が強く訴えている「国と地方の協議の場」の法制化が盛り込まれていないことに触れ、「民主党は(東京都議選での圧勝などで)勢いづくあまり地方への配慮を欠いた」と酷評した。
http://s02.megalodon.jp/2009-0730-1341-45/sankei.jp.msn.com/politics/local/090730/lcl0907301144000-n1.htmより
院選のマニフェスト(政権公約)について大阪府の橋下徹知事は30日、自身が強く訴えている「国と地方の協議の場」の法制化については自民、公明、民主の3党が盛り込む見通しになったと話した。そのうえで、「公明党は(地方に)権限を持たせるという言葉が入っている。このままだと自公の方が上ということになる」と述べ、民主党にプレッシャーをかけた。
これって・・・
ツンデレですか?
いるいる、どちらがより自分を高く買うか二人に競わせて自分の値段をつり上げる人間て。
それにしても民主党は、いくら橋下氏の大衆からの支持は高いとは言え、それに媚びないで欲しいです。「あれは政策集であって正式なマニフェストではない」などどいう言い訳がなんとも情けない・・・
他の知事が何か発言してもマスコミはこんなに取り上げたりはしないでしょう。
彼がマスコミで持ち上げられるたび、ポピュリズムを煽るジャーナリズムの低俗化を見せつけられます。
一体彼は何様?マスコミはまるで彼が国政のキャスティングボートを握るかのような扱いはやめるべきです。
ところで民主党が慌てふためき、自民党もマニフェストに入れたこの地方分権、道州制。
橋下氏が熱心に推進しており、また地方を主役にしようと頑張るその熱い姿勢が橋下支持を呼びこんでいるわけですが、いったいこの地方分権の中身はなんなのかというと今ひとつはっきりしません。
現在橋下氏を支持してる人のどのくらいの人がその中身を知ってるのでしょうか(経団連は別として)
じつは私もまだよくわかっていません。
一応地方分権を推進する大阪府のHPをあげておきます。まずは道州制推進派の言い分を見てみましょう。
◆大阪府HPより
「霞ヶ関の解体」と「地域主権の実現」“虹色に輝く日本”をつくろうここに書いてあることを抜粋してみますと、
この国のかたち、国と地方の役割を正常な姿にする。これがあらゆる分野の改革のスタート。そもそも、日本の進むべき方向を見据え、国家の存立に関わる戦略を立てることが、中央政府の役割。これに専念してもらうためにも、勇気を持って国への依存を断ち切り、地域住民の暮らし、地域経済や文化の発展を支える役割は、地方自治体がしっかりと担う。国と地方が、互いにもたれあうことなく役割を明確に区分し、それぞれが責任を果たす。(略)
身近な行政を担う「基礎自治体」と、まとまりある圏域の広域行政を担う「道州」の二層構造。霞が関からこれらの地方自治体に対し、権限と税財源を抜本的に移譲することが不可欠。(略)
中央政府の力で確かな国家戦略を打ち立て国際社会の中で輝きを増す。地方自治体の力で、住民
の暮らしを支え、それぞれの地域が個性ある鮮やかな色を発し、日本という国全体が虹色に輝く。まずは、この国のかたちを変える。「霞ヶ関の解体」と「地域主権の実現」。
今の日本に一番欠けているのは、国家戦略です。
今は、霞ヶ関の官僚が権限を持ち、地方の仕事の細部、それこそ、箸の上げ下げにまで口を出すことに時間と労力を費やしています。国会議員も、有権者から、「歩道を広げて」とか、「赤信号が長い」といった地域課題の要望や苦情を受け、その対応に忙殺されています。
この際、こういう仕組みを改め、霞ヶ関の官僚や大臣、国会議員といった優秀な中央政府のプレーヤーには、大局を読み、制度の根本を議論し、各分野の大方針を打ち立てることにその能力を注いでほしいのです。
地域のことは地方自治体がしっかりやるから、中央政府は、日本の進むべき方向を見据えて舵をとり、国家の存立に関わる大きな戦略の確立に専念してもらいたい。
地域主権を実現し、選挙で選ばれた地方自治体の首長の責任で借金をするということになれば、限られた財源の中、「あれか、これか」を厳しく選択し、地域に応じた工夫が働きます。そして何より、住民からの監視が行き届きます。遠い霞ヶ関ではなく、身近な地方自治体なら、使い道がおかしいと文句も言いやすいでしょう。無駄遣いへのコントロールも効きます。地域主権で、「ニア・イズ・ベター」の原則が徹底できます。(引用ここまで)
「根源治療の処方箋は、システムそのものを刷新すること。これがあらゆる分野の改革のスタート」との認識のもと、
国と地方の仕事を分業し、国には国にしかできない仕事に専念してもらい、他は地方が税源も権限も担うことによってニア・イズ・ベターの地方自治を実現できる、というのが基本構想のようです。
今の地方自治の実態は3割自治どころか、限りなく国の下請けです。
「住民に近ければ近いほど望ましい」(ニア・イズ・ベター)は、本来憲法が目指す地方自治であり「民主主義のの小学校」にふさわしいものです。
霞ヶ関と言ったら官僚の象徴ですから、その解体といえば「アンチ中央集権国家、官僚政治打破」といった感じで大変小気味よく聞こえますし、行政を分担して財源も権限も地方へ、といえばより住民の声をいかす身近な民主主義の実現に近づくようなイメージが湧きます。
しかしこの道州制、以前にも書きましたが、「究極の構造改革」というコイズミ用語を使った経団連の鳴り物入り、というということからして疑いの目を持って見ていました。
もちろん、私は今の3割自治は何とか改革しなくてはならないと思っていますし、地方分権そのものを否定して現状のままがベストといってるわけではありません。
要は、憲法が目指している地方自治を実現させ地方を活性化させるためにはどういう方向性でどういう方法を取ればいいのか一つ一つを検証していき、誤った方向へ向かわせないことが大事ではないか、という気がします。
そこで、財界が進めようとする地方分権とはどのようなものか、見てみましょう。
◆「5年以内に『連邦的道州制』に移行せよ」
次期総理大臣への逆マニフェストー憲法改正と廃権置州により実現する地域主権提言ーby関西経済同友会ざっと見ますと、
官から民への徹底的な権限委譲
85万人の公務員と2万1千人の議員を削減。
失職した公務員は民間へ。
民の役割は、国民一人一人が自覚を持って「自分の出来ることで社会に貢献する」自立した暮らしをおくる。国にぶら下がらない。
中央政府はさらに「小さな政府」となって、皇室、外交、通貨等、限られたことに集中。
うわぁ・・・(汗)
なるほど、財界が「究極の構造改革」と位置づけるのも頷けます。コイズミ改革そのものです。道州に分けた地方で更に「小さな政府」を実施し、市場原理主義を徹底して行おう、というのが透けて見えます。新自由主義の亡霊が地方を食い物にしようと最後の悪あがきをしているかのようです。
関西経済同友会は06年4月に「5年以内にこれを実現せよ、時間をかけるな」とまで言っています。
どうやら橋下氏が推進しようとしてるのはこれのようです。
当然以下のリンク先のような厳しい批判が噴出しています。
◆八尾北医療センター労働組合
公務員全員解雇、「半分の人員で倍の仕事をする者だけ採用」これが道州制だ
(引用開始)
橋下知事は「大阪府をつぶして関西州をつくる」とぶちあげている。
これは関西財界が進めてきた自治体民営化構想です。関西経済同友会は06年4月に「5年以内に『連邦的道州制』に移行せよ」と提言しています。提言は「410万人の国・地方の公務員の内、自衛官・警察などを除く360万人弱を一端解雇する。85万人の首切り要員を『公務員支援事業団』に放り込んで、民間に出す。教育公務員等126万人の現業公務員は、公設民営化した上で再雇用の機会を与える」と提言している。一端解雇して、410万人のうち211万人だけを再雇用すると言っている。
国鉄分割・民営化とまったく同じ手法です。国鉄も全員解雇し、40万人のうち20万人の首切り。首切りのために「人材活用センター」に送り込んだ。「公務員支援事業団」は自治体版「人材活用センター」だ。
自治体を丸ごと民営化して、企業の利潤追求のえじきにしていく。儲からない事業はドンドン切り捨てる。銚子市民病院の閉鎖と、医師や看護師190人全員の分限免職(首切りだ)は、その始まりです。(引用ここまで)
◆
http://www.k-center.org/blog/pdf/dousyusei.pdf◆赤旗
道州制策動 許されない「究極の構造改革」橋下氏のキャラや地方分権の言葉からくるイメージ先行でなんとなく道州制に賛成しては危険だということは、まだ勉強不足ながらもひしひし感じます。
そうでなければ、何となく郵便局のサービスが良くなりそう、程度のイメージで郵政民営化を支持してしまったのと同じ過ちを犯すことになるでしょう。
郵政民営化に騙されたことにようやく気づき始めても、魔法の言葉が郵政民営化から地方分権に変わっただけでまた騙されてはシャレになりません。
それにしても、道州制が急にクローズアップされたのは橋下氏が大阪知事になってから。
降って湧いたような話題で、不思議に感じませんか?
国内政治で最も手をつけなくてはならないことは何でしょうか?
新自由主義がもたらした滑り台社会を根本から改革することではないでしょうか?
ところが、Mr.ポピュリスト橋下という安物のアイドルを使い、
地方分権、道州制こそが最も注目すべき旬の課題、流行の最先端であると印象づけようとしている気がします。(橋下氏はほんとに適任)
こうして
道州制は、派遣切りや教育や医療など大切なことから国民の目をそらさせ、コイズミ構造改革を何とか維持しようとする目くらましの材料になってるのではないでしょうか。
私はその疑いがぬぐえません。
もし民主党が橋下氏とこの地方分権、道州制を推すのであれば、残念ながら民主党の地方分権は、完全に×のリストに入れざるを得ません。
http://www.dpj.or.jp/news/?num=16487
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