Ａｆｔｅｒｎｏｏｎ　Ｃａｆｅ

テレビで選挙戦の様子をみていて「それ、違うでしょ」と突っ込みたくなることがままあります。
たとえば
「お願いします！私を勝たせてください！」「○○を男にしてください！」というもの。土下座なんかされたら更にドン引きです。
いや、あなたを男にするためじゃなくて、私のために一票使うんですけど・・＾＾；
あと、負けたときに土下座するのも勘弁して欲しいです。

それからこんなのも「それ、違うでしょ」と感じます。
愛知でかろうじて当選した自民党議員は
「ありがとうございます。地元のために頑張ります！」
と言ってました。
・・いや、地元に尽くすのは地方議員でしょ、と突っ込みたい＾＾；
国会議員は、各選挙区の利益代表者ではなく、全国民の代表者なのですから。

同じ勘違いは有権者にも見られます。
田中康夫さんは今回兵庫8区から立候補しましたが、予想外の逆風が吹いたと言っていました。
田中さんは、「ここで長野の話をされても困るんだよ」「あんた地元のために何やったの？」と選挙民に冷たくあしらわれてました。

立候補者だけでなく、有権者にもまだまだ国会議員は我が郷土が生んだセンセイという意識が強く、全国民の代表者という意識が薄いと思います。

日本では、国会議員は「地元」と切っても切れない密接なつながりがあります。情においても利益においても。
地元の先生にしてもらう「政治」とは何かといえば、利権に群がり政治家と持ちつ持たれつで利益誘導して貰うこと。見返りに議員は必ず票を貰う。このギブ＆テイクの風習が国会議員の政治なのだという古い意識が昔ほどではないにしろまだ根強いです。
地元でのこういう持ちつ持たれつの長いお付き合いにはどうしても義理人情が絡んで、切るに切れないしがらみができあがりますから、そりゃ選挙区を変えるのが一大事なのもわかります。
この地元意識が世襲政治家を生む土壌になっています。
また、この土壌がある限り、もし世襲を法で禁止したとしても、古い政治意識はあまり進歩しないかもしれません。

これに対し、イギリスだと選挙区と立候補者のつながりはありません。選挙区を移動することはよくあるし地元意識もほとんどないです。
ないほうが正解です。だって全国の奉仕者なんですから。
初めて立候補する若手にはわざと強い対立候補がいる選挙区に送り込んで鍛えさせたり、政治家として有能と思われる順から安全な選挙区に鞍替えさせたりします。また選挙区割りは10年くらいで変更されます。（上杉隆「世襲議員のからくり」参考）

全国民の代表という観点からすれば、断然イギリスの制度の方が理にかなっていると言えます。
また、これだとわざわざ世襲を禁じなくても世襲政治家は生まれません。地元とのしがらみなどないから世襲する基盤、メリットがそもそも無いのです。

世襲の弊害が叫ばれ議員の世襲を禁止する立法が話題になっていますが、こうしてみると世襲が発生する土壌を残したまま法律で世襲禁止するというのは筋が違うというか、あまり効果的ではないと感じます。
世襲を禁止するよりも、そもそも世襲のメリット、世襲の基盤をなくす選挙制度に変えるほうが本筋ではないでしょうか。
国会議員の地元意識は世襲の弊害の面でも有害でしかない気がします。

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