まず、一つお詫びと訂正があります。
新型インフルエンザの対応は、強毒性の鳥インフルエンザを想定してつくられた行動計画で、昨日まで全国一律だったようです。
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2009052290121130.html休校は自治体が判断 政府、新型インフル対策で新方針
2009年5月22日 12時13分
政府は22日午前、麻生太郎首相と全閣僚が出席して新型インフルエンザ対策本部会合を官邸で開き、患者急増地域では、学校の休業を自治体が独自に判断できるなどの新たな国内対策を決定した。感染の広がりの程度に応じ地域を2段階に分類し、都道府県が実情に応じてどちらに該当するか判断する。同日から実施した。国民生活や経済への影響を最小限に抑える狙い。
首相は会合で「感染状況は地域によって偏りがある。弾力的な指針を明確にするため水際対策も含め改定した」と述べた。舛添要一厚生労働相は記者会見で、これまでの症例などを踏まえ、新型インフルエンザの性質を「季節性インフルエンザと酷似する点が多い」と指摘。慢性疾患がある人などは重症化の恐れがあると注意を喚起した。
兵庫県や神戸市は22日、政府の新対策を受け、感染拡大に伴う公立学校の休校解除を決めた。授業は週明けに再開される。
新対策は感染地域を(1)患者発生が数例の地域(2)急速に患者数が増加している地域-に分類。都道府県、保健所を設置している市が、国と相談して判断する。
感染が数例の地域では、すべての患者の入院措置を継続するなど拡大防止に全力を挙げる。
一方で、急速に患者が増加している地域では、軽症者の自宅療養を容認。また入り口の分離や診療時間を分けるなどの院内感染対策を実行すれば一般医療機関でも発熱外来の設置を認める。学校は季節性インフルエンザと同様に学級閉鎖も選択できる。
水際対策では、事前に発熱などの症状の通報がある場合は機内検疫を実施するが、それ以外の便では中止。濃厚接触者への停留措置もやめ、それ以外の同乗者は健康監視の対象から外す。
強毒性の鳥インフルエンザを想定してつくられた行動計画では、対応は全国で一律だった。大阪府などで感染が急拡大して都市機能がまひする一方で、感染者がゼロの地域も多く、ばらつきが出ていることに配慮した。
(共同)(引用終了)
今日からインフルエンザの広まり方に応じて、地方で二段階を選択出来ることになったようです。
ということは、
大阪と異なり、神戸で一足先に通常の外来で受診が出来るようになったのは地方に丸投げしたからではなく、政府の行動計画では現状に対応できなくなって切迫した神戸が独自の判断で前倒しに行った、ということになるのかな?
それはそれで政府の対策が不味かったことになるのですが、ともあれ、
先のエントリーで書いたような、「地方丸投げか?」というわけでは無かったようです。
確認が不十分で申し訳ありませんでした。少々勇み足だったようです。お詫びして訂正します。
さて、問題はここから。強毒性の鳥インフルエンザを想定してつくられた政府の行動計画は、もっとも恐るべき強毒性インフルエンザのパンデミックはおろか、弱毒の新型インフルエンザにも効果的な対応が出来ないことが大阪での蔓延で明らかになったのではないでしょうか。
実際、インフルエンザを疑われる人や、インフルエンザではないけど重い疾患の人が、受診できない状態になったのですから。
その理由の一つとして
ほとんど効果のない感染拡大防止重視の隔離政策を主としたことがあげられると思います。
先のエントリーのコメント欄に書いたURL先を引用しますが、新型インフルエンザが流行したらどういう措置を講ずべきか、流行前がら専門医による忠告が発せられていたようです。
そこで今の政府の「隔離政策重視」という対応のまずさは既に指摘されていました。
http://www.watarase.ne.jp/aponet/news/090219.html(引用開始)
以下講演の中で気になった点を紹介します。(聞き違いもあるかもしれませんので、さまざまなソースでご確認下さい)
・今まで、新型インフルエンザの脅威というと、東南アジアなどで散発する致死率が高いH5N1型のヒトからヒトの感染が想定されていたが、近年の発症数の減少傾向などを考慮すると、H5N1型が新型インフルエンザの第一候補という可能性は低くなってきたというのが、最近の専門家のコンセンサスである。
・過去の流行の傾向を疫学的に調べると、ヒトの間で猛威をふるうのは、H1型(1918年~1920年代スペインかぜ、最近のソ連かぜ)、H2型(1957年~60年代のアジアかぜ)、H3型(1968年~現在の香港かぜ)の3型だけである。H5N1のヒトへの感染力は低いと考えられ、次に猛威をふるう(新型インフルエンザになりえる)のは、しばらく流行のないH2型ではないかという説もある。であるから、H5N1型が次の新型インフルエンザであるとしたメディアの報道は正確ではない。
・H5N1がヒトへ感染した新型となれば、重症化する可能性は大きいが、もしH2型であれば、高齢者などは免疫があり、また小児もそれほど多くの死亡者数は出ないだろう。猛威をうるうのはむしろ過去のアジアかぜに免疫のない1968年生まれ以降の大人になる可能性がある。
・現在の日本の対策は、致死率の高いH5N1型を想定した対策に偏る傾向がある。近年訓練の様子が報道されている、防護服やゴーグルを身にまとった「発熱外来」という対策が自治体に求められているが、感染防止策としては必ずしも有用ではない。欧米の新型インフルエンザ対策は、手洗いなどの従来型のインフルエンザと同じであり、「発熱外来」という発想自体もない。
.強毒型の鳥インフルエンザ(H5N1型)の症状として、サイトカインストームによる多臓器不全による死亡が広く知られているが、実際には肺炎球菌、連鎖球菌、ブドウ球菌などによる二次性細菌性肺炎による死亡例も多い。肺炎球菌ワクチンの接種や入院患者への適切な抗菌剤の投与、人工呼吸器の確保といった対策にも力を入れるべきである。
・新型インフルエンザ患者が一人でも発生したら、学校の休校の措置をとるとした自治体もあると聞いているが、子どもが家にいれば親は仕事を休まざるを得ない。一般で16%労働力の減少、看護師など女性の従事者が多い医療職に至っては30%の労働力の減少が予想され、これが医療現場の混乱に拍車をかける可能性がある。
つまり、菅谷先生のお話だと、医療関係者は新型インフルエンザを過度に恐れる必要はなく、従来の感染症対策(手洗いは必要だが、N95マスクの着用は必ずしも必要ではない。もちろん通常の診察では、ガウンなどの専用の防護服やゴーグルなどは不要)で十分であり、多くの医療機関(薬局も当然含む)が患者を積極的に受け入れて欲しいとのことでした。(引用終了)
http://plaza.rakuten.co.jp/imagashoji/diary/2009013100012009.01.31
新型インフルエンザ対策の誤り [ 健康 ]
今日、昭和町のアピオ本館で行われた「新型インフルエンザ対策の問題点」と題する講演を聞いてきた。講師は神奈川県警友会警友病院小児科部長の菅谷 憲夫先生だった。
新型インフルエンザで214万人死ぬなどのデマ情報に脅されて、国や市町村やマスコミが大騒ぎして感染防御対策として、防御服や非常食の準備や隔離対策など誤った対策をとっており、いざ発生したら大問題を起こしかねないと危惧していた。
そもそも鳥のインフルエンザが人から人に感染するタイプに変わることはまず考えずらいが、もし発生するとすれば、誰にも免疫がないので医者をはじめ全ての人があっと言う間に感染する。感染しないようにするなどはナンセンスで感染しても死なないようにする治療にこそ力をいれるべきである。
もし発生したら、日本のような経済、医療レベルでも4万~12万人が死亡する可能性があり、20万~150万人の入院患者を収容できる病院を確保する必要がある。
感染防御とか、隔離とかそれから逃げることばかり考えていると、その患者を診てくれる病院や診療所がなくなる。そうではなくて、第1次発生時は、全ての人が感染することを前提に考え、発病した人に対しては日本全国の病院、診療所で診てくれる体制を整えることこそ最重要である。宇宙服のようなものを準備しているのは全くのナンセンスである。
どこから出たホラだか分からないが、サイトカインストームによる多臓器不全で死ぬとマスコミなどでは報じているが、それはサーズ(SARS)や鳥インフルエンザと混同しているのだと思う。サイトカインストームなどは起る筈がなく、2次感染による細菌性肺炎で死ぬのである。
肺炎ワクチンや肺炎にかかった時の治療が大事である。重症者には人工呼吸器(レスピレーター)も必要になる。それらを準備することの方が、宇宙服や非常食よりはるかに重要である。
先生はインフルエンザの専門家である。その先生の意見を聞かないでナンセンスな政策を行っている政府と無責任なマスコミを怖いと思った。
「感染防止などできる筈がないことに力を入れるよりも、死者を出さない医療体制の整備こそ重要である」との先生の御講演に、終了後フロアから「目からうろこのお話で感謝します」とのお礼の言葉があった。(引用終了)
何故政府は、専門医の言うことを傾聴しないで、あさっての方向向いた効果的とは言えない水際作戦隔離作戦にばかりに固執するのでしょうか?
今日から水際検疫を緩和したそうですが、まだやってたことにびっくりしました!もうこんなの役に立たないことは私でもわかるのに。
もう一つの理由に、先エントリーでも触れましたが
ずっと社会問題になってる医療崩壊があげられると思います。
「発熱外来」という発想がよかったかどうかわかりかせんが、これが機能しないのみならず疾病を蔓延させることになった原因の一端は
単純に、医者が足りない!!それは一体誰のせいなのかと言いたいです。
こうして政府がたてた行動計画は役に立たず、政府は危機管理ができなかった失態をさらしています。
ところで今度は受け手である国民とマスコミにかんして。
先のエントリーにmonamiさんからいただいたコメントより
首都圏で最初に発症した女子生徒が通う学園の校長は記者会見で涙ぐむし、女子生徒は「申し訳ない」と
まるで罪人です
京都で発症した男子児童の校長も記者会見していたが、そもそも記者会見の必要があるのだろうか
同感です。
今回の新型インフルエンザも従来のもの以上に畏れる必要はないことがあきらかになってます。
毎年流行するインフルエンザでも死者は出ていますが、そのインフルエンザが流行し始めたときも今回みたいな戒厳令で流行を阻止しようとしているでしょうか?
そして、インフルエンザの感染者第一号に謝罪会見を開かせてるでしょうか?
それならば私は今回の記者会見に文句はありません。
上のお医者さんの話でもわかると思いますが、遅かれ早かれどういう経路であろうと感染は不可避なのだから、こんなふうに「ウィルスを持ち込んだ責任追及の記者会見」は無意味で、リンチ以外の何物でもないのです。
今日、埼玉と京都で初感染者がでたそうですが・・
もういい加減こういう報道はヤメにしませんか?私は非常に未熟で病的な国民性を感じます。
(こんなに煽られやすく冷静さを失いやすい性格で政権交代できるのかしら・・・すぐころっと乗せられるんだもの)
少し古いのですが、この記事には私も同感です。
http://news.livedoor.com/article/detail/4145809/新型インフルエンザ「海外でマスクをしているのは日本人だけ」
2009年05月10日10時00分 / 提供:ゲンダイネット
●戦前から変わらぬ国民性、メディアの狂騒
ゴールデンウイーク中、テレビをつけると朝から晩まで新型インフルエンザ報道のオンパレードだった。それも「バカ」がつく騒ぎぶり。目に余る過熱報道に、朝日新聞の投書欄にはこんな声が紹介されていた。
「(横浜市の)高校生が入院している病院の前で、マスクをつけたリポーターが絶叫口調で伝えていたが、これではまるで犯罪者扱いだ」「映像メディアは、場合によってはインフルエンザより恐ろしい」(6日朝刊)
実際、世界を見てもこんなに大騒ぎしているのは日本くらいだ。帰国ラッシュの6日の成田国際空港。感染者が出た米国や、お隣の韓国からの帰国客は「現地でマスクをしているのは日本人だけ。恥ずかしかった」と口をそろえていた。
「ニューヨークやシカゴはもちろん、感染源のメキシコでさえ、マスクをしている人はほとんどいません。おカミから、手の洗い方やマスクまで強要されるいわれはないと考えているし、欧米人はそもそもマスクをするくらいなら外出しない。テレビが政府の伝達係となって不安をあおっている日本のパニックぶりは、奇異な目で見られています」(在米ジャーナリスト)
そんな大マスコミをそそのかしているのが麻生政権。「冷静な対応を」と会見で呼びかけた舛添大臣の興奮ぶりもひどかった。「国民が一丸となれば、見えない敵であるウイルスとの戦いに勝てる。オールジャパンで力を合わせて戦いたい」と目を血走らせ、まるで戦争にでも突入するかのような口ぶりだ。これでは感染の疑いがあった高校生が犯罪者扱いされるのも仕方ない。政治評論家の森田実氏が言う。
「政府が“有事”をあおり、テレビや新聞など大マスコミがそれに乗っかって、ひとつのことだけを興奮気味に画一的に報じる。北朝鮮のテポドンのときもそうでしたが、これは非常に危険な事態です。大本営から与えられた情報だけを垂れ流した戦前戦中と変わらない。大マスコミはその反省を忘れ、自主的な判断や、バランスよく報じる任務を放棄しています」
国民を守る強い政府をアピールして支持率を上げたい麻生政権に、踊らされ利用されている大マスコミは目を覚ますべきだ。冷静すぎるほどでないと、いざ国内感染が出たとき、この国は本当にパニック全体主義になってしまう。
(日刊ゲンダイ2009年5月7日掲載)
マスクが品薄でネットで数万円で高額販売されてて、それでも売れてるそうです。
在りし日のオイルショックのトイレットペーパー騒ぎもこんなだったでしょうね。
マスクも一定の効用はありますけど、あまりのばかばかしさに情けなくなります。
日本人のこの右へならえの狂騒曲がどれだけ海外でバカにされてるか、
カナダde日本語のこちらをどうぞ。ああ、麻生政権、危機管理能力ナッシング。国民の暮らしだけでなく、健康もろくに守れないのね・・・
せめて北朝鮮のミサイル騒動で、役に立たないと政府筋がついばらしちゃったMDの予算をこっちに回せばいいのに!
効果のない対策に血道を上げ、頼りになる政府を演出したい政府、
それに乗っかるマスコミ
煽られて集団ヒステリー状態になる国民
政府だけでなく、マスコミも国民も皆こぞって海外から嘲笑されても仕方ない対応をとっていることに、一刻も早く気付いてあらためないと、そのうち何らかの被害者が出そうで心配です・・。
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新型インフルエンザ狂想曲に関してのエントリー
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