(最近筆が遅くてすみません。さっそく前回の続きを・・汗)朝日や産経によりますと、入居者の内200人、約3割以上の人達が、支給された2万円を持ってトンズラしたかのように読めます。一部を抜粋しましょう。
就活費で酒、たばこ…「公設派遣村」悪質入所者に返金要求へ
派遣村は5日、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区、4日に閉所)から大田区の都の臨時宿泊施設に移転。都は入所期限の18日までの就労活動用の交通費と昼食代として、入所者1人当たり計2万2千円を支給した(562人、総額約1236万円)。ところが、多くの入所者が活動費を受け取った直後に近くの小売店で酒やたばこを購入していたことが判明。店員は「朝から1万円札を握りしめた入所者が大勢並んで買い物に来ている。たばこがかなり売れ、酒やスポーツ紙などを購入する人も少なくない」と証言した。60代の入所者の男性は「都に提出する領収書がいらない交通費に出費したことにして帳尻を合わせたい」と話した
低モラルの派遣村、現金支給後に不明者続出(産経1/8)
年末年始に住居がない失業者に宿泊場所や食事を提供する東京都の「公設派遣村」で、当初の利用者562人のうち、8日現在で200人以上が所在不明となっていることが都の調査で分かった。こうした実態を受けて東京都の石原慎太郎知事は同日の定例会見で、「入所者のモラルの問題がある。『ごねれば言うことを聞く』とうそぶく。大きな反省の対象だ」と語った。
所在不明者は、都が就活費として現金2万円を支給した6日から続出。都は規則違反者は強制退所にし、18日で派遣村の閉所を決めた。
長妻昭厚生労働相がこの件について「残念だ。そういうことが起こらない支援態勢が必要」と会見で語ったことに対しては、石原知事は改めて「政府は反省し、ゆがんだ形で終わらないように取り組むべきだ」と指摘した。
都によると、7日現在の入所者名簿は557人。しかし、同日の夕食の配膳数は356人分で、外出したまま戻らない155人と、46人の行方不明者の計201人が施設にいないことを確認した。外出者の大半が所在不明となっている。
派遣村200人超が2万円持ち去りか…支給後に所在不明(スポーツ報知1/9)
東京都が年末年始に住まいのない求職者を支援するために用意した国立オリンピック記念青少年総合センター(渋谷区)を利用し、その後も都が提供した宿泊施設を利用していた失業者554人のうち、204人が現金2万円を支給した後に所在不明になっていることが8日、明らかになった。“公設派遣村”では午後4時半を門限とし、遅れる場合は連絡をするよう求めていたが、ほとんど連絡はなかったものとみられる。
都によると、日雇い労働者向けの宿泊施設「なぎさ寮」(大田区)に入所している失業者は8日午後7時半の時点で554人。夕食の配膳(はいぜん)を受けたのは350人だった。残る149人は外出届けを出し、55人は無届けで、計204人の所在が分かっていない
(以上下線は私)
産経よりトーンダウンしていますがやはり朝日も約200人が無断外泊したと伝えています。
東京都の派遣村200人、無断外泊 交通費2万円受給後しかし赤旗では次のような指摘がなされています。
◆公設派遣村 「無断外泊」は誤認 ワンストップの会 利用者支援継続を要望
年越し派遣村が必要ないワンストップ・サービスをつくる会(代表・宇都宮健児弁護士)は12日、東京都に対し、「公設派遣村」利用者の「外泊」などについて正確な事実を明らかにし、生活再建に努力している人たちへの支援継続や医療体制の強化を求める要望書を提出しました。
ワンストップの会の井上久さん(全労連事務局次長)、安部誠さん(全国ユニオン事務局長)、丸山理絵さん(反貧困ネットワーク)は同日、都庁内で記者会見し、「公設派遣村」利用者を「無断外泊200人」「2万円持ち逃げ」などとするのは、事実誤認の中傷であると指摘しました。
同会が、都の現場担当者に問い合わせたところ、200人という数字は都として公式発表したものではなく、実際の外泊者は毎日四十数人程度だといいます。
井上さんは、「ごく一部に行動費で飲酒した人がいるのは残念ですが、大多数は生活再建に懸命に努力しています」と強調。
宿泊施設は、都心部までかなりの時間がかかるなど、住居探しなどに不便なことが問題となっていました。「無断」で門限の午後4時半に帰着できなかった人も、ほとんどは生活保護の手続きや住居探しで遅くなり、都が連絡先の電話番号を徹底しなかったため、連絡できませんでした。
記者会見には、「公設派遣村」利用者も参加。
半年前まで福井県鯖江市で眼鏡フレームをつくっていた男性(47)は、送迎バスの最終便に間に合わなかったため、個室ビデオ店に1泊しました。「2万円の行動費は、アパート探しに使っている。宿泊施設の電話番号は知らされていなかった」
指の骨折でマツダを「非正規切り」された男性(24)は、「不動産屋まわりで帰着が遅くなるので電話したが、ずっと通話中で、連絡がつかなかった」。また死者も出た宿泊施設の医療体制について、「かぜが蔓延(まんえん)している。ちゃんと病院に連れて行ってほしい」と訴えました。
(以上下線は私)
実際にワンストップの会に参加された方のブログからも引用させていただきましょう。
労働組合ってなにするところ?◆ワンストップの会、1月9日の相談活動
(引用開始)
それから、1月6日に戻って来なかった入所者がいるというニュースが流れた件ですが、いくつかの報道で「200人」とされているそうですが、施設内で東京都からの情報を聞いた方によると「47人」が正しいそうです。「200人」というのはどこから出てきた情報なのでしょうね?
「逃亡」だということも断定できた訳ではなく、アパート物件を探していて帰りそびれたケースや、お金を落としてしまって帰れなかったというケースもあり、戻ってきた方もいます。私が実際お話しした方はハローワークに向かう途中でお金を落としてしまったそうで、視覚障害がある方なので寮に連絡もできず、仕方がないので再び野宿をし、その後知り合いのボランティアの方と偶然会って近くの福祉事務所に連れて行ってもらい、交通費を借りて戻ってきたそうです。
また、実際にルールを守れない人が一部にはいるのだろうが、真面目に生活を再建しようとしている人たちもいるのだから、みんな同じように見ないでほしいとおっしゃっていた方もいらっしゃいました。
報道では、東京都の対応がどのようなものなのかということにはほとんど触れていません。オリンピックセンターから臨時の宿泊施設へ、そしてまたなぎさ寮へと移る際の入所者の不安をどれだけフォローできたのか、情報伝達の手段はどのようなもので、きちんと入所者に行き渡っているのかなど、確認すべきことはいろいろあるでしょう。少なくとも6日までは報道関係者は自由になぎさ寮内に入ることができ、いくらでも取材ができたはずなのですけどね。一方的に一部の入所者の素行だけを取り上げて批判するというやり方はいかがなものかと思います。
石原都知事は視察もせずに入所者の人たちが仕事を探す気がないかのように一方的に決め付けていましたが、ハローワークからの求人票が並べられているのは私は今日初めてみました。求人票が置いてあるそばの壁に「ハローワーク求人票」という掲示がしてあるだけで、他に施設内に”ここに求人票がある”とわかるような掲示は見かけませんでした。日中のアナウンスもありませんでした。どのように情報を周知しているのでしょうか?
こうしたことを報道の方々にはきちんと調べて、事実関係をそれぞれの視点から確認して判断し、記事を書いていただきたいものです。(引用ここまで)
特に産経の見出しには「ごね得」とか「低モラル」とかマイナスな文字が目立ちますね。
“ごね得”許した「派遣村の品格」 費用は6千万円大幅超の見込みなど、派遣村に来る人間はモラルが低い、派遣村に流れてくるような人間に税金使うなんてろくな事はない、と言わんばかりです。
産経に限らず相変わらずマスコミは派遣村には態度が冷たいようですが、これは、
なにかしらモラルに問題がある人間が貧困に陥りホームレスになり派遣村に来るのだ(その証拠に3割以上が2万円持ち逃げしている)、派遣村に来るような事態になったのは自己責任である(そんな人間に何故‘血税’が使われるのか)
という「貧困=自己責任」の神話が未だに根をはっているからだと思います。
それにしても、200人という根拠のない数字とか、連絡が付かなかった理由もきちんと取材しなかったこととか、新聞ともあろうものが事実確認を怠ったこのような記事を流すとは、マスコミによる明らかな派遣村バッシングだと批判されてもしょうがないと思います。
また、「持ち逃げした2万は税金である」とテレビニュースでも散々繰り返していましたが、支給金が「税金」であることをとりたてて強調するのもなんだかな、と思います。それは生活保護費が‘血税’から支払われてると強調して、生活保護受給者に対する嫌悪感を露わにする心理にも共通すると思います。
税金であることを強調することで、公費を横領した犯罪者であるかのように印象づけたいのでしょうか。
好ましくない行動を取ったごく一部の人々を肯定するつもりはありませんが、
なぜいつも、社会的弱者やマイノリティにばかり全員に、高いモラルを厳しく要求するのでしょうかこれは派遣村に限ったことではありません。母子家庭の生活保護受給や母子加算復活に関してもそうです。
中には褒められない行動を取る人もいるでしょうが、貧乏人でも金持ちでもやや困った人間はどこにでも少なからずいるもの。(というより派遣村や宿泊施設の実態がああでは外に行きたくなるのもムリはないかも・・)
隣組の連帯責任じゃあるまいし、一部の不正(?)を殊更大きくとりたて派遣村を18日で打ち切って宿泊者を放り出す都知事の決定は間違っています。
就活費2万円を目的外使用した者には、都は返還請求を行うそうです。
でも、石原都知事、確かオリンピック招致に税金100億円を含む招致活動費150億円使いましたよね?
しかもその100億円の‘血税’は、「財政再建の余剰分であり、東京の財政は痛くもかゆくもない」「余った金でオリンピック招致の夢を見るのがなにが悪い」って言ってましたよね?
100億円に比べれば、200人(ほんとは47人)×\20000=400万円くらいまだまだかわいいもんでしょう?そんなに余裕があるんならこのくらい大目に見る太っ腹があっても罰は当たらないと思いますけど?
それに、返還求めるって言うなら、あなたも無駄に使った招致費返還しないと筋が通らないんじゃないですか?
それにしても政府内でも国会でも、セーフティネットの再構築、ワーキングプア対策はちっとも進みません。だって政治家達がそれをほったらかして「小沢氏の政治資金4億円」に夢中になってるのですから。
100円も持ってないような路上生活者が溢れて派遣村に職を求めてやってくる一方で、4億円・・・
どうしても隔世の感にためいきがでますね。
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